[原子力産業新聞] 2001年9月13日 第2103号 <2面>

[原子力安全・保安院] BWR電力にシュラウドの微小亀裂で自主点検など求める

東京電力の福島第二・3号機 (BWR、110万kW) のシュラウドに亀裂が入っていることが定期検査中に発見されたことについて、経済産業省の原子力安全・保安院は6日、東電に対して同事象に関する追加報告を求めるとともに、全ての沸騰水型原子炉設置者に対して、自主的な点検およびその報告などを求めたことを明らかにした。

福島第二・3号機シュラウドの「ひび」について、東電は8月24日に原子力安全・保安院に対して (1) 製作時における機械加工 (切削) により下部リングの外表面が硬化したため、溶接による引っ張り方向の残留応力と運転中の溶存酸素を含んだ環境のもとで応力腐食割れが発生し、これが最初の亀裂となり、その後は粒界型応力腐食割れが進展したことが原因 (2) 残留応力はリング表面では引っ張り方向だが、内部では圧縮方向へ働くために、ひびの進展は自然に止まるものであり、また当該リングのひびを除いた残存部分の強度は十分確保されているころから運転上支障はないが、今後の運転に万全を期する観点から、タイロッド工法による補修を行う ---- などといった原因および対策を報告していた。

これを受けた原子力安全・保安院では検討の結果、東電報告書に再発防止対策として記載されているタイロッド工法による補修に関して (1) タイロッドおよびその付属物等の構造健全性 (強度、耐震性、耐蝕性、飛散物が生じる可能性等) (2) 既存の施設、設備に与える影響 (原子炉容器、炉心シュラウドサポート等の既存構造物への影響および、原子炉一次冷却材の流れに対する影響) ---- の2点について追加報告を求めるとともに、全ての BWR 設置者に対して、自主的な点検および結果の同院への報告を求めた。


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