[原子力産業新聞] 2001年10月25日 第2109号 <3面>

[米濃縮会社] 先進技術の開発継続へ

新素材遠心機に可能性

米国濃縮会社 (USEC) は2日、米原子力エネルギー協会 (NEI) が開催した「国際ウラン燃料セミナー2001」の席で、遠心分離法を含めた先進的なウラン濃縮技術の開発を今後も進めていくとの方針を明らかにした。

同社のD.スパージョン副社長はまず、同社の経営戦略として新たな濃縮技術の開発に必要となる確固たる財政基盤や活力を蓄えるため、既存のガス拡散法濃縮プラントで生産性と効率性を高める努力を続けていると説明。過去2年間に米国で開発された遠心分離法濃縮技術の評価を終え、今後はすでに確証されたこの第2世代の技術の実証をさらに発展させていくほか、第3世代の技術である SILEX レーザー濃縮法の開発も慎重なペースで継続していくと述べた。

米国では連邦政府が遠心分離法の開発を始め、85年にエネルギー省 (DOE) が技術の実証を終えている。その後、この技術は「必要性がない」という理由で開発中止になったが、昨年、USEC およびテネシー大学とバッテル研究所の共同研究ユニットは、DOE が承認した USEC の出資による協力研究開発協定 (CRADA) に基づいてオークリッジのイースト・テネシー・テクノロジー・パークで遠心分離法のさらなる研究を実施していた。

スパージョン副社長は、「民間セクターと政府が連携したこの研究では意義深い進展があった」と強調。政府の初期の開発実績のほかに製造技術や素材開発の商業的な発達を踏み台に、USEC がこのほど新たな遠心機を設計したことを明らかにした。新しい素材と製造工程によって USEC では遠心機の製造コストを他社製の物より安くできるとの評価を下しており、米国の遠心分離技術には高い性能と信頼性が見込まれると強調。同技術の開発を進展させていくことは国家保障やエネルギーの供給保障に役立つだけでなく雇用の創出にも繋がると主張している。

スパージョン副社長によると、USEC は現在、CRADA を延長させるための作業を DOE と実施中。今後この計画を実証段階に進められるよう DOE の保証を得たいと説明しており、適切な投資の復活と経済性のある開発計画の下で先進技術の究極的な開発を一歩一歩着実に推し進めていくとの方針を表明している。

また、こうした方針を堅持しつつも、USEC は低コストの原子燃料供給が見込めるような他の新たな代替技術の開発チャンスに関しても柔軟性のある慎重な姿勢を堅持しており、まだ初期段階にある SILEX 濃縮技術の開発は今後も継続的に評価していくと明言した。


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