[原子力産業新聞] 2006年3月16日 第2323号 <4面>

[第一機電] 中性子検出用リチウム―ホウ素系シンチレータを開発

 第一機電(東京・調布市、城井裕彦社長)はこのほど、従来の数万倍のギガカウント秒という計数率と同時に、厚さ1mmで90%以上の検出効率を達成した中性子検出用リチウム―ホウ素系シンチレータを開発した。J―PARCなど大強度中性子源での利用を目指す。

 この開発は科学技術振興機構(JST)が独創的シーズ展開事業の開発課題として同社に依託したもの。中性子検出器には従来から比例計数管が広く使用されているが、単位時間当たりに数えることのできる中性子数である計数率は数十kカウント程度に留まっており、大強度中性子源には対応できなかった。

 今回開発したシンチレータは母材に、γ線吸収能力が低く、中性子吸収能力の高いリチウムとホウ素から構成される酸化物単結晶を使用。これに銅イオンの価数を制御しながら結晶中に固溶させ、ブリッジマン法で大型結晶を作製するという新技術を適用した。

 銅添加リチウム・ホウ素酸化物単結晶は、シンチレータとしての発光がナノ秒という短時間で減衰するため中性子検出効率も高い。

 この開発は元理化学研究所イメージ情報研究ユニットリーダー(現高エネ研教授)の清水裕彦氏らの研究成果を基にしている。


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