[原子力産業新聞] 2006年3月16日 第2323号 <4面>

[原子力機構] SPring−8放射光利用 原子の配列と種類を同時にモニター

 日本原子力研究開発機構はこのほど、大型放射光施設SPring−8の放射光X線を用いて、結晶成長中の半導体表面の原子配列と原子の種類とを同時に特定できるモニター手法を開発した。

 原子力機構では、半導体素子を作製する結晶成長装置をSPring−8のビームラインに組み込み、結晶成長中のガリウムひ素半導体の表面を観察。従来技術では、白黒の影絵に相当する原子配列の骨格のみ得られていたのに対し、原子力機構の用いた手法では複数の波長のX線を用い、原子の種類が特定されるカラー画像相当の構造を得ることに成功した。その結果、結晶成長中に現れるc(4×4)と呼ばれる表面が、ガリウムとひ素の原子のペアーからできていることが、実験的に初めて確認されたという。原子力機構ではこの成果を利用することで、半導体製造過程をより精密に制御できるようになり、携帯電話・無線LAN・光通信・カーナビなどに使われる半導体素子の性能向上や、新素子開発の迅速化が期待できるとしている。


Copyright (C) 2005 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.