[原子力産業新聞] 2007年5月24日 第2380号 <3面>

米アラバマ州 ブラウンズフェリー1号機 22年ぶりに運転再開

テネシー峡谷開発公社(TVA)は21日、1985年3月以来長期にわたって運転を休止していたブラウンズフェリー1号機(BWR、115万5,000kW)を起動した。同機は22日に臨界を達成。今後徐々に出力を上げ、数週間かけてさまざまな試験を実施する。米国で運転中の原子力発電所の基数は、同1号機を含め104基。米原子力規制委員会(NRC)は15日に、同機の22年ぶりの運転再開を認可していた。

TVAが所有・運転するブラウンズフェリー原子力発電所(=写真 アラバマ州)は、ゼネラル・エレクトリック社製100万kW級BWR×3基から構成され、それぞれ1974年8月、75年3月、77年3月に営業運転を開始した。

運開後のブラウンズフェリー発電所は、75年3月に1号機で大規模な火災事故が発生するなど、全3基ともに運転・管理面の問題から運転実績が低迷。84〜85年にかけて、格納容器漏洩率試験の不合格、原子炉水位計装に関する問題など、安全上の理由から長期運転休止に追い込まれることになった。休止期間中も運転認可はTVAが保持したが、運転再開にあたってはNRCの承認が必要とされていた。

その後TVAは電力需要の拡大に伴い、2号機を91年5月に、3号機を95年11月に運転再開させたが、1号機の運転再開は見合わせていた。

しかし原子力ルネサンスの流れの中で、TVAは1号機の運転再開スケジュールおよびコスト評価を実施。2002年5月、1号機の運転再開を決定し、18億ドルを投じて、同機の大規模な改修工事に着手した。

規模としては新規建設にも匹敵するもので、エンジニアリングおよび技術サービスをベクテル・パワー社が、改修作業をストーン&ウェブスター社等が担当した。

またTVAは、運転再開に向けた準備プログラムを立ち上げ、発電所の組織や管理体制を見直し。運転員の訓練プログラムも実施した。

昨年5月には1号機の33年8月までの運転期間延長(20年延長)が、今年3月には115万5,000kWへの出力増強(5万7,000kW増)が、NRCより認可されている。

ほかにもTVAは04年6月、ブラウンズフェリー1〜3号機の128万kWへの出力増強(各12万5,000kW増)を申請しており、NRCは今秋にも審査を完了する予定である。


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