終わりのない原子力の安全性向上に向けて

 電力各社では、「2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故のような重大事故を二度と起こさない」という固い決意のもと、事故直後から、緊急安全対策を速やかにかつ徹底的に講じた。その後、2013年7月に施行された新規制基準に従い重大事故対策を考慮した安全強化を図るとともに、さらなる安全性向上に向けて自主的な取組を進めている。
 新規制基準の施行から3年余が経過し、2015年8月に発電を再開した九州電力川内1号機を先陣に、これまで5基の原子力発電プラントが再稼働(原子炉起動)を果たしている。一方で、未だ、9社・16基のプラントが審査途上となっており、新規制基準施行当初の想定より審査期間が長期化している状況だ。
 事業者が、新規制基準に的確に対応していくことはもとより、今後、審査が進展していくためには、どのような対応が必要か。また、規制の枠を超え、さらなる自主的かつ継続的な安全性向上に向けて、どのような取組が進められているのだろうか。福島第一原子力発電所事故から間もなく6年となる今、これまでの取組を振り返り、何が行われ、何が今後の課題となっているのか。こうした観点から、本企画では、原子力の安全性向上を牽引する国内外の第一人者の話を紹介したい。


【国内編】

【海外編】

  • 事業者の視点から

    第1回
    A.ピエトランジェロ氏
    前米国原子力エネルギー協会上級副理事長
    (2017年2月13日掲載)

  • 規制当局の視点から

    第2回
    R.A.サベジ氏
    英国原子力規制局
    主席検査官
    (2017年2月27日掲載)

  • 国際機関の視点から

    第3回
    W.D.マグウッド氏
    OECD/NEA事務局長
    (2017年3月15日掲載)

 
 
 

Safety First 原子力発電のたゆまぬ安全性向上に向けて

考えよう!  原子力発電のこと。
 エネルギー資源の乏しいわが国においては、エネルギーの安定供給、経済性、地球温暖化対策の面で優れている原子力エネルギーを利用していくことが必要です。
 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う大規模津波により、福島第一原子力発電所で大きな事故が起きました。わが国では、この事故を教訓として安全性向上を図るべく、新たに原子力規制委員会を設立し、国際的にも厳しい新たな原子力規制基準を定めました。
 今、原子力事業者は、原子力発電所を稼働するため、単に規制基準をクリアするにとどまらず、さらなる安全性向上に向けた取り組みを進めています。
 そうした取り組みを紹介した本冊子が、皆さまのご理解に役立つことを願っています。