フォントサイズ:

向坊隆記念国際人育成事業 初の若手技術者の海外原子炉研修への派遣支援 米国ユタ大学原子炉研修 参加報告会を開催しました。

2018年2月23日

米国ユタ大学原子炉研修参加者による報告会が、2月2日、原産協会で開催され、約20名が参加しました。

当協会の向坊隆記念国際人育成事業は、原子力・エネルギー分野において、国際的視野を持ち、国内外で活躍・貢献できる若手リーダーの育成を目指し、2008年に開始されました。これまで、主に世界原子力大学(WNU)・夏季研修への派遣事業を展開してきましたが、今年は、これに加え、米国ユタ大学の原子炉研修へ初めて若手技術者の派遣を支援しました。

この研修は、岡山大学 耐災安全・安心センターがユタ大学および国際原子力機関(IAEA)と協働で開発したもので、学生と社会人が一堂に会し、意見を交換しながら学ぶことのできるプログラムです。昨年、11月6日(月)~10日(金)、同大学で実施された研修に、原子力発電所の運転、保守、設計等を担当する5社5名の若手技術者を本事業により派遣し、報告会では、うち2名の若手技術者が、研修の報告を行いました。

はじめに、関西電力の原子力事業本部原子力安全部門安全技術グループの澤野弘幸氏が研修の全体概要を説明しました。シビアアクシデント、リスクコミュニケーション、軽水型原子炉の安全裕度等についての講義のほか、ユタ大学の100kWの研究用原子炉を用いた実習(原子炉起動や出力上昇/出力降下操作の見学)、IAEA等が提供した2種類のPCシミュレータを用いて事故時や異常な過渡変化時の原子炉の挙動について学習したことを紹介しました。また、講師及び受講者全員による安全余裕の設定の考え方、リスクコミュニケーション等についての討論は、短時間で論理を構築し、相手に伝える訓練の場となったと語りました。

MHIニュークリアシステムズ・ソリューションエンジニアリングの原子炉制御安全技術部の松本敦史氏は、リスクコミュニケーションに関する討論において、リスクの定義は公衆意見をフィードバックしてアップデートを繰り返すものであることを学んだと紹介しました。また、安全文化を醸成するためには、技術的ではない個人の仕事の仕方や倫理観に基づくスキルの向上(ソフトスキル)が必要であり、ソフトスキルの向上のための方策、例えば3 way コミュニケーション、自己点検、疑いを持つ姿勢、STAR (Stop, Thin, Act, Review)等について日米の参加者間で討論したことは印象深かったと語りました。

なお、この研修はシビアアクシデント(SA)を専門とするIAEAの講師による講義が多いのも特徴で、SA事象の進展ならびに対策としてのSAMG(Severe Accident Management Guideline)の考え方や、IAEAが福島第一原発事故後の原子炉安全対策の強化支援を目的に開発したツールSAMG-Dの使用方法を学んだことも紹介されました。IAEAは原発導入国を中心にSAMG-Dの普及を推進しています。

研修参加者からは、この研修参加を通じて、米国における安全設計の考え方や安全裕度とリスクの関係性について理解を深めることができた、IAEA等海外の原子力関係者とのネットワークを構築し、多様な専門分野から参加する日本人エンジニアと企業の垣根を越えて、分野横断的に議論できたことは貴重であった、今後もこの研修を通じて得たコネクションを大切にしていきたいと成果と今後の業務への抱負が述べられました。

また、研究炉等を用いた教育の機会が少ない状況の中、原子炉起動から停止における基本的な挙動を学び、チェレンコフ光の観測をはじめとして、実機を用いた研修ができたことは非常に貴重な経験であったと研修参加者から多く聞かれました。ユタ州に設置されているLLW(低レベル放射性廃棄物)埋設施設であるEnergy Solutions社の Clive Facilityのテクニカルツアーを通じて、米国の広大なスケールの差を経験できたとの感想もありました。
当協会は今後も本事業を継続して実施し、原子力産業界を牽引する若手の人材育成に尽力していきます。

なお、助成対象者5名の研修参加報告はこちらをご覧ください。


研修参加者からの報告の様子

お問い合わせ先:人材育成部 TEL:03-6256-9315(直通)

協会からのお知らせ一覧へ戻る