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世界最高速呼吸同期スキャニング照射開始、呼吸で動く胸部・腹部のがん

2015年4月20日

 放射線医学総合研究所は4月16日、胸部や腹部の呼吸で動くがんに対する世界最高速の3次元スキャニング照射による重粒子線治療(臨床試験)を開始したと発表した。
 これまで呼吸性移動を伴う腫瘍への重粒子線照射は困難だったが、(1)患部を直接観察して腫瘍の位置をリアルタイムに計算し、治療計画で設定した位置に腫瘍があるときに重粒子を照射する、(2)重粒子線を高速で走査し、呼吸のタイミングに合わせて腫瘍を重ね塗りするように照射する――技術の開発により、精度良く均一なスキャニング照射を可能とした。
 同技術によって、副作用をさらに低減するとともに、治療適応症例の拡大や治療期間短縮による日帰り治療の実現が期待されるとしている。
 放医研で2011年5月より開始された高速3次元スキャニング照射装置による重粒子線がん治療は、複雑な形状の病巣にも従来の100倍の速度で照射可能な治療システムで、1回の照射時間が短いことによる患者への負担低減と、重粒子線治療の効率化に寄与するものとして、以後、世界初の技術となる呼吸同期照射法との組み合わせが研究されていた。今回新たに開発された呼吸同期スキャニング照射では、肺がんと肝臓がんの2つの症例に対し臨床試験が実施された。放医研では、今後、さらに10例程度の臨床試験を行い、副作用の程度を検証しながら、従来の照射法との治療効果を確認することとしている。