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特集 ユレンコ社 「日本との長年の協力関係は大切」 原子力の将来信じる

2015年5月28日

特集のロゴ(仮)

 今回は2015年3月より日本原子力産業協会に加入したユレンコ社を取り上げる。日本では「ウレンコ」と表記されていることの多い同社だが、発音は「ユレンコ」が正しく、本取材を機に改められることを願うとのことである。原産年次大会出席のために来日したウッド副社長は、スタンフォード大学で日本史学の修士号を取得している上に日本在住経験もあり、流暢な日本語で取材に応じてくれた。(中村真紀子記者)

原子力業界を支え、持続可能な未来をめざす
クリス・ウッド 日本・中東営業担当 副社長

真:MrWoodUrenco
 ユレンコ社は1970年のアルメロ条約により、英国、ドイツ、オランダ各政府による国際共同企業体として設立された。同条約ではユレンコ社の運営にあたり、各国が共同で遠心分離技術を使用して原子力発電などに関わる開発を行っていくことを規定している。ユレンコ社は、最新の遠心分離技術を用いてウラン濃縮役務のリーディング·サプライヤーとしての地位を40年間築いてきた。現在日本を含め19か国に51社の顧客を有し、世界の全燃料成型加工工場に濃縮ウランを提供している。
 現在ユレンコ社は、英国のケーペンハースト、オランダのアルメロ、ドイツのグロナウ、米国のニューメキシコ、計4か国に濃縮工場を保有する民営企業となっている。2010年に操業を開始した米国ニューメキシコ州にあるLES社が最新工場であり、本工場はここ30年で初めて米国内に建設された原子力施設である。ユレンコ社の年間生産能力は1万8千トンSWU強まで到達し、四つの異なる生産拠点と規制管轄の中で商業運転を行っている為、業界内で最も供給源の多様性と安定性を顧客に提供している。
 ユレンコ社はウラン濃縮事業に特化した企業であり、原子力業界で特異な存在である。濃縮事業に特化している為、遠心分離技術の開発に集中し、最良の濃縮役務供給者となるべく事業を行っている。ウラン燃料サイクルの中心に存在するユレンコ社は、原子力業界の健全性及び顧客との近い関係性の二点が自社の成長の為に大切であると考えている。
 米国唯一のウラン濃縮工場を操業しているニューメキシコ州のLESプロジェクトはユレンコ社と顧客の長期的な相互依存関係を表している。LES社は、米国産濃縮役務を望む顧客との長期契約によって、工場の建設、供給能力の拡張が順調に進んだ。LESでの濃縮能力は現在4千トンSWUを超え、米国、日本、その他電力会社の顧客に信頼できるウラン濃縮役務を提供している。

真:米NM州LES社UUSA(Urenco USA)工場

米NM州LES社UUSA(Urenco USA)工場

 またユレンコ社は地域社会との良好な関係を構築し、責任を持つ企業市民であることを強調している。ユレンコ社の重要な取り組みの一つは、科学教育を支援し、国民の原子力に関する理解を高めることである。例えば英国では、ユレンコ社が英国科学協会と提携して濃縮プロセスについての教材を開発し、学生が対話形式で楽しく科学について学ぶためのワークショップを開催している。2014年には17,000人以上の子供たちがユレンコ社の科学プログラムに参加した。またユレンコ社は個人、グループ問わず濃縮施設への訪問者を歓迎し、昨年は約9,000人を受け入れた。
 ユレンコ社にとって日本市場は最重要市場の一つであり、複数の電力会社と長年の付き合いを通じて親密で協力的な関係を築いている。日本の原子力業界を取り巻く環境は難しい時期を迎えているが、温室効果ガスを排出せず、ベースロード電源の一つである原子力の将来は明るいと見通している。ユレンコ社は、日本の電力会社にとって長期的なパートナーであり続け、濃縮役務サプライヤーとして高い信頼性を得るべく前向きに事業を行っていく。
 今回、私は年次大会に参加で来たことを大変喜ばしく思っており、900名以上が一堂に会し、原子力業界の情報や課題を議論する本大会から得られる事が多かった。日本の原子力業界の皆様と強い絆を構築し、長期的視点から協力的なパートナーとして存在する事を、ユレンコ社を代表してお伝えしたい。
ユレンコ社と日本企業 強固な信頼
早津 剛 伊藤忠商事 金属カンパニー 原子燃料室長代行

真:MrHayatsuItochu
 伊藤忠はユレンコ社の日本の総代理店として約40年もの間、関係を構築してきた。東日本震災以降で電力業界を取り巻く環境は一変し、国内全ての原子炉が停止している厳しい状況が続いているが、電力各社がユレンコ社との長期契約を計画どおりに履行できない実情を、恐縮しながらご説明いただく場面に幾度となく立ち会ってきた。こうした顧客の方から窮状説明がある背景には、ユレンコ社が各社との間に長年培われてきたパートナーシップがあるとともに、耐容できうるユレンコ社の揺るがぬキャパシティがあるからこそ。日本に将来原子力が必要不可欠であるが故に、ユレンコ社も自社の存在意義を見出せており、電力各社とユレンコ社の間には、単なるビジネス関係を超えた信頼関係が築き上げられている喜びを共有させてもらっている。
【ユレンコ社】
 ユレンコグループは遠心分離技術を保有し、ドイツ、オランダ、米国、英国でウラン濃縮工場を運営する原子力燃料企業で1971年に設立。各工場での濃縮能力を着実に増加させ、シェアを伸ばしている。またフランスのアレバ社とのジョイントベンチャーであるETC社の50%の株を保有している。