フォントサイズ:

発足から40年の米国NRC:新たな取り組み「Project Aim 2020」

2015年5月8日

米国原子力規制委員会(NRC)は、1975年1月19日の発足から40年を迎えたのを節目に、さらに効率的かつ安全性向上のための新たな取り組みとして、適切なサイズ「Right Size」、合理化、適時「Timeliness」、一貫性の4つの視点で変化(Change)を求める「Project Aim 2020」を打ち出した。これは、NRC主催で毎年開催される規制情報会議(RIC:Regulatory Information Conference、3月10~12日、メリーランド州ベセスダ)で紹介されたもの。

バーンズ委員長のスピーチ

バーンズ委員長のスピーチ

NRCのバーンズ委員長は、講演冒頭で、40年のNRCの歴史を振り返るとともに、米国内の原子力発電は拡大路線とはなっていないが、NRCの業務は小型モジュール炉(SMR)、サイバーセキュリティ、60年超運転、福島事故の反映、廃炉、医療用アイソトープなど多彩な分野に渡っていると述べ、NRCの役割の重要性を強調した上で、NRCの将来を考える1つのコンポーネントとして、「Project Aim 2020」を発表した。

「Project Aim 2020」は、NRCがこれまでブラウンズフェリー発電所火災、TMI事故、9・11同時多発テロ、さらに福島第一事故等に対応してきた中で、バックフィット規制やセキュリティ強化などの面で重要な進展があったにも関わらず、規制の枠組みは比較的一定であったとし、21世紀における模範的原子力規制を目指し、さらなる安全性向上とNRCの効率的運営を目指して取り組むこととなったもの。

RIC会合で「Project Aim 2020」について詳細説明を行った運営総局長によると、NRCは原子力の安全性とセキュリティを担保する使命を高いレベルでやり遂げているものの、さらに将来も成し遂げ続けるために、有効性、効率性、機動性、柔軟性、およびパフォーマンスの向上が継続して行われなければならないことから、下記の4つの視点での変化(Change)が求められるとしている。
(1)適切なサイズ化「Right Size」:NRCは、効率的かつ有効に任務遂行するために適切な技術を有する人材を保有し、引き付けて、育成しなければならない。
(2)合理化(リソースの活用):NRCのプロセスはより贅肉をそぎ落とすべきであり、賢明にリソースを活用して、任務と支援の双方の機能で無駄をなくさなければならない。
(3)適時性「Timeliness」:NRCは、よりタイムリーかつ効果的に規制機能を実行して、決定をしなければならない。外部条件が変化した際には、NRCは機敏で柔軟性のある姿勢で、より即座に対応しなければならない。
(4)一貫性:NRCは国家のニーズを反映し、そのニーズを果たすための統一した目的意識を共有して活動する明確な機関全体でのプライオリティを確立するべきである。

2020年のNRCの姿としては、現在の運転中の原子炉99基から、2019年にはオイスタークリークが閉鎖となることから、98基となるが、現在許認可手続き中と建設中の5基が運転開始となると103基に増えるとしながらも、NRCの規模は、2015年の職員数3,677名(2010会計年度で3,976名)より約10%削減されると予測している。但し、財政状況に関して天然ガス料金の低下などにより、新規原子力発電所が伸び悩んだ場合には、変更もありうるとしている。

30か国以上、約3,000人の原子力関係者が参加した今回のRIC会合では、委員長はじめNRC各委員も登壇したが、NRCの意思決定の向上のため、すべてのステークホルダーからの広い視点でのヒアリングが重要なことなどを指摘している。実際、会合全体を通じて、講演ではユーモアが交えられるなど、聴衆とのコミュニケーションが図られている様子が感じ取れ、この点は日本の原子力関係者の会議も工夫すべきものがあると思われる。