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米規制委員会、NRAとの共催WSで廃止措置プロセス改善の取り組み紹介

2015年4月9日

規制廃炉WS 米原子力規制委員会(NRC)は4月8日、都内で日本の原子力規制委員会(NRA)と原子力発電所の廃止措置に関わるワークショップを共催し、米国における廃止措置への取り組み状況を紹介した。

 NRAの田中知委員は冒頭挨拶で、米国では事故を経験していない発電所の多くが廃炉措置に入るなど経験が蓄積されている一方、日本ではガス冷却炉の東海発電所で廃止措置が進行中だと指摘。今後は軽水炉の廃止措置が重要性を増してくることから、NRCから助言と情報を得る重要性に言及した。1月にNRCトップに就任したばかりのS.バーンズ委員長は、NRCとNRA双方が情報交換する必要性を指摘。米国の廃止措置でどのような規制アプローチを取っているか参考にしてほしいとの希望を述べた。

 米国では約10年間にわたり廃炉になった原子炉は無かったが、過去18か月の間に5基の原子炉が相次いで廃炉プロセスに入った。このため、現在のプロセスにおける課題が浮き彫りとなり、緊急時計画や物理的なセキュリティなど、いくつかの規制分野で1990年代以来の変更を実施中。原子炉が稼働状態から廃炉状態に移行する期間に、事業者とNRCの双方が無用の負担や望ましくない混乱を避けられるよう、NRCではガイダンスの策定など同プロセスの効率性改善に取り組んでいる。

 バーンズ委員長が解説した「米国における廃止措置の状況」は以下のとおり。

バーンズ委員長 米国における廃止措置には3つの選択肢があり、(1)運転停止後、直ちに機器や設備の放射能を除去する「DECON」、(2)設備の汚染構造物を一定期間、安全に貯蔵し、将来的な解体と除染を行う「SAFSTOR」、(3)放射化した構造物やシステム、機器を遮へい隔離する「ENTOMB」--である。これまでに原子炉10基が運転終了後、一切の制約なくサイト利用が可能な状態に戻されたほか、5基でDECONの作業を展開中。14基が15年~41年間のSAFSTOR状態に入っている。

 90年代に廃止措置が完了した例としては、ニューヨーク州東部のコネチカットヤンキー原発とボストン北部のメーンヤンキー原発がある。これらではサイトの利用制限が解除されているものの、放射能のレベルはゼロではない。検出可能なレベルの放射線は存在するが、25ミリレム/年という米国の規制における公衆の許容被ばく線量を満たしており、「合理的に達成できる限り低く」というALARAの原則に基づく措置。こうした過去の例の教訓が廃止プロセスの今後の改善に貢献してくれる。

 プロセスの改善にはまた、公衆を巻き込むこと、すなわち一般国民とのコミュニケーションが非常に重要との教訓を得た。事業者は特に、廃止措置に関する地元コミュニティへの普及啓蒙活動に乗り出しているが、NRCとしても地元住民と国民に理解してもらうための公開討論会を開催。廃止措置活動に関する査察報告書も定期的に作成するなど、透明度の高い情報を提供。こうした活動は事業者にもプラスになるため奨励している。

 さらに、NRCがここ数年に学んだ課題としては、規制の最適化という問題がある。原子炉の運転から廃止に至る移行措置の流れを効率化するために、作業グループを設置して廃炉措置のルール策定を行っている。それらは緊急時対応やセキュリティ、人員の配置と訓練、使用済み燃料と廃炉から出る廃棄物の基金の利用等に関するもので、2019年までに策定を完了する計画だ。また、ガイダンス文書の更新とともに、除染の管理記録といった知識管理も継続的に行っている。

 このほかの教訓としては、事業者などステークホルダーとのコミュニケーション維持が重要と言う点が挙げられる。事業者の初期の活動から運転終結まで、すなわち「ゆりかごから墓場まで」といった包括的で強力な規制の枠組を敷くには関係者間の連携が不可欠。基本的な安全基準を満たしつつ想定外の状況に対応させる柔軟性も必要になることから、地元住民や国民とのコミュニケーションも取りつつ過去の経験に学び、新たな経験を蓄積し、それらを国際コミュニティとも共有していきたい。