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英国:ヒンクリーポイントC建設計画の最終投資決定に遅れ

2015年4月6日

英国では20数年ぶりという原子力発電所新設計画の準備作業を仏企業EDFエナジー社がヒンクリーポイント発電所サイトで進めているが、同社は4月1日、「サイトでの準備作業を次の段階に進めるには支出見通しを大幅に引き上げる必要があるため、最終的な投資決定が下されるまで作業を凍結する」との方針を表明した。これに対して、英国三大労組の一つで建設作業員やエネルギー関係作業員が所属する「全国都市一般労組(GMB)」はサマセット州の同サイトで働く作業員400名が一時解雇されると反発。同計画そのものの実現性を不安視するコメントを発表している。

同計画では仏アレバ社製の160万kW級・欧州加圧水型炉(EPR)を2基、2023年以降に完成させることになっており、EDFエナジー社の親会社である仏電力グループは2013年、同プラントからの電力を35年間、固定価格で差金決済(CfDs)することで英国政府と合意。同時にEDFエナジー社は、アレバ社と中国の二つの原子力企業がそれぞれ10%と30~40%、同計画に出資することになったと発表した。また、昨年10月には欧州委員会(EC)が英国政府のこのような財政支援策を一部修正した上で承認しており、同計画の確定までには最終投資決定に関する戦略的投資パートナーとの合意が残されるのみとみられていた。

ヒンクリーポイントCでの準備作業
ヒンクリーポイントC発電所建設サイトでの準備作業©EDFエナジー社

今回の発表の中でEDF社は、最終投資決定に関する英国政府との協議が順調に進展中で、数か月以内に最終合意に達する見通しだと強調。投資パートナー達との協議も成功裏に続けられているとした。また、建設サイトにおける一連の準備作業も進捗しており、土地の掘削や排水設備の建設、コンクリート製造施設等の作業にはすでに多大な投資を行ったと指摘。最終投資決定が下されるまでの期間は、エンジニアリング設計など、建設計画の実施に向けた作業を継続すると説明した。

しかしGMBは、240億ポンドと言われる最終投資決定が予定通り、2014年中に下されなかった点にまず懸念を示した。また、同計画に出資するアレバ社が昨年、過去最悪レベルの純損失を計上したことに加えて、中国企業による同計画への要求拡大も問題になっていると指摘。中国企業が出資の見返りとして、EDFエナジー社の後続計画に中国製原子炉の採用を狙っているという報道に懸念を表明した。また、5月の総選挙が同計画にどのような影響をもたらすかも不安であるとの見解を表明している。

なお欧州メディアの報道では、ECが英国政府による同計画への財政支援を認めたことについて、反原子力の立場を取るオーストリア政府は無効化を求めてEU司法裁判所に訴訟を起こす方針のようだ。