設計基準超に対応必要 全国科学アカデミー 福一事故の教訓踏まえ報告書

2014年8月7日

全米科学アカデミー(NAS)は7月24日、福島第一原子力発電所事故により事業者と規制当局が原発災害の最新情報を積極的に収集し、それに基づいて行動する必要性が浮き彫りになったとする調査報告書を公表した。同事故の原因検証を通じて、米国原発における安全性と事故時の所外緊急時対応策の改善に役立てる勧告事項を産業界に提示している。

同調査は議会の指示によりNASが福島第一事故の包括的な教訓をとりまとめたもので、米原子力規制委員会(NRC)が後援した。

報告書はまず、同事故を受けて、米国の事業者と規制当局が原子力発電所のシステムや操業手順、運転員訓練などを改善する有用な対応を進めつつあるとした上で、計測・安全系の直流電源や電源喪失中の発電所状況をリアルタイムに推定する手段、炉の熱除去や減圧、格納容器のベントシステムといった重要なシステムについては可用性や信頼性、余剰性、多様性を改善するため特別な注意を払うよう促した。

また、(1)予期せぬ事態にも対応可能とするための運転員訓練、資源の可用性改善に特別な注意を払う(2)発電所の構造や機器設計に起因する事象のリスク評価能力を高める(3)地震や津波など、複数原発や広大な地理領域に影響する可能性のある事象に特に努力を集中する―などの点を事業者と規制当局に勧告している。

報告書は、米国原発ではこれまで、発電所が特定の不具合や異常事象、設計基準事象に耐え得る設計であることを保証するという考え方で安全規制が行われてきたが、TIM事故やチェルノブイリ事故も含めた過去40年間の経験と分析は、原子炉の損傷リスクが設計基準を超える事象に影響されることを実証しており、炉心溶融事故の予防とその影響緩和に既存の安全規制アプローチでは明らかに不適切であることが判明したと明言。近代的なリスク評価原則を許認可と規制に一層徹底して適用することこそ、将来的にすべての原子力発電所の安全性を向上する一助になるとの見解を示している。

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