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ドイツ:欧州司法裁判所がドイツの核燃料税を支持する裁定

2015年6月5日

 欧州連合(EU)の最高裁に当たる欧州司法裁判所(CJEU)は6月4日、ドイツ国内の核燃料税についてEUの法令に適合しているとの裁定を下し、その撤回を求めていた同国の原子力発電事業者の主張を退けた。福島第一原子力発電所事故後、直ちに8基の原子炉の閉鎖を命じられたE.ON社、RWE社、EnBW社にとって新たな痛手となる裁定であり、3社がこれまでに払い込んだ核燃料税は50億ユーロ(7,000億円)にのぼった模様。この件について3社は複数の裁判所に提訴しており、E.ON社ではドイツ連邦憲法裁判所がこれから下す判断に望みをつなぐと見られている。

 ドイツ政府は2011年1月から2016年12月末までの期間、新燃料1グラムに付き145ユーロ(約20,000円)を徴収するという核燃料税を施行しているが、これは原子力発電所の運転期間延長で得られた収入からの払い込みが条件となっていた。しかし施行を開始して2か月後の福島第一事故を受けて、メルケル政権は2022年までにすべての原子炉を閉鎖すると決定。運転期間の延長という条件が満たされなくなったことから、エムスラント原子力発電所を共同所有するE.ON社とRWE社は、両社の運転子会社であるLippe-Ems社を通じてハンブルク財政裁判所に既納分の返還を申し立てた。同裁判所は2011年9月に発電事業者の主張を支持する予備裁定を下したものの、連邦財政裁判所による2012年3月の裁定はこれを逆転。このためハンブルクの裁判所は2013年11月、同税のドイツ憲法に対する合憲性を連邦憲法裁判所に、EU法に対する適合性をCJEUに上訴していた。

 今回の裁定の中でCJEUは、「ドイツの核燃料税がEU法から除外されない」ことを明言。エネルギー製品と電力に対するEUの課税指令の下で徴収を免除されるべきだとする事業者の主張を却下したほか、消費税の一般取り決めに関するEU指令からも除外されることはないとした。また、核燃料への課税は、EU法が禁じるその他の電源への国家補助にも当たらないと指摘。「課税されない電源に金銭的な競争力を与えている」とした事業者の訴えを一蹴している。