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IAEA:理事会で福島第一事故の最終報告書を議論

2015年6月10日

©D.Calma/IAEA

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 国際原子力機関(IAEA)の定例理事会が8日にウィーンで開幕し、冒頭演説に立った天野之弥事務局長(=写真)は福島第一原子力発電所事故の詳細についてとりまとめた最終報告書を理事会メンバーの35か国で審議した上で、9月の年次総会で公開予定であると述べた。240頁の最終報告書はIAEAに加盟する42か国、および複数の国際機関の専門家、約180名が2年間の広範な共同作業の末に完成させたもので、5月14日付けで加盟各国に配布済み。この時点で作成中だった5巻の詳細な技術文書も総会前に発行するとしている。

 天野事務局長によると、同報告書は福島第一事故で発生した事実に基づき公正に評価した正式なレポートであり、専門家でない一般の人々にも理解し易く作成。同事故の人的、組織的、技術的ファクターを検証することで、福島第一発電所で何がどうして起きたのか理解してもらうとともに、世界中の原子力発電事業者や政府関係者、規制当局に同事故の教訓に基づいた行動を促したいとの希望を述べた。

 また、同報告書の前書き部分で、「いかなる国においても原子力安全に自己満足の余地は無い」と言明したことを明らかにしており、福島第一事故の原因となったいくつかのファクターは日本特有のことではないとした。経験から得られた教訓を積極的に受け入れ、疑問を持ち続ける姿勢こそが安全文化のカギであり、原子力発電に携わるすべての人間にとって重要なことだと指摘。安全は常に第一でなければならないと訴えた。