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米国:ザイオン発電所の廃止措置で原子炉容器の分割に成功

2015年7月16日

 米国でザイオン原子力発電所の廃止措置を請け負っているエナジーソリューションズ社は7月13日、商業炉の原子炉容器(RV)を分割するという大規模作業に米国で初めて成功したと発表した。同社の子会社でザイオン発電所の廃止措置専門に創設されたザイオンソリューションズ社が5月26日、酸素プロパン切断トーチを使ってRVを17分割する作業を開始し、6月26日に最後の切断を終えたという。同社によると今回使われたのは、支持具や吊り上げ機器など特殊な機材を要する先進技術で、米国原子力産業界にとって初の適用例。事故も無く無事に作業が進んだほか、広範囲の設計・分析、モックアップ試験などにより、環境に放射性物質を放出することなく一連の高速切断作業が完了したと強調している。

 このほか、今年実施した大規模作業として、同社は使用済み燃料を乾式貯蔵施設に移送したことと、BクラスとCクラスの放射性廃棄物をサイト外に撤去したことを列挙。当初計画では2013年に作業を開始し2032年にサイトの復旧・再利用まで到達する予定だったが、2010年に始まった作業は現段階で少なくとも12年前倒しで進行中であり、2020年にも完了するとの見通しを示した。

 イリノイ州シカゴの北64kmに位置するザイオン発電所はウェスチングハウス(WH)社製の100万kW級PWRで、エクセロン社が1973年に1号機、翌74年に2号機の営業運転を開始。1996年と97年にそれぞれを閉鎖した。2010年に米原子力規制委員会(NRC)はエクセロン社の保有する原子炉認可を、廃止措置プロジェクト期間中に限りザイオンソリューションズ社に移転することを承認。同じ年の10月にザイオン社はドイツ系の放射性廃材処理企業であるジンペルカンプ原子力サービス(SNS)社に両炉のRVと炉内構造物(RVI)を切断、除去、梱包する契約を発注した。SNS社はこの契約の遂行に当たり、最初に2号機で切断作業を実施し、その教訓を1号機の切断に適用する計画を立案。1号機のRV切断作業中に2号機で切断したRVの撤去を行うという段取りによって、3年間で両炉の切断を終えるとしている。

 ザイオンソリューションズ社によると、同廃止措置計画ではコストが明確になっているため、イリノイ州民から新たに電気料金を徴収する必要が無い。配管やタンク、バルブ、ポンプを含めた放射性物質の撤去と、その後の検証をもって同発電所の原子炉認可が終結するが、廃止措置作業で発生するすべての低レベル放射性廃棄物(LLW)は州外で処分するとしている。同社はまた、廃止措置活動によってイリノイ州および同州北東部の7郡に多くの経済的恩恵がもたらされると指摘。同プロジェクトを実施する10年ほどの間に、新たに3億9,000万ドルの経済活動が期待できるほか、1570人・年の雇用が創出され、イリノイ州全体で生み出される雇用者所得は約1億5,000万ドルに及ぶとの予測を示している。