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「原子力総合シンポジウム」が開催、人材育成など議論

2015年7月17日

 日本原子力学会他、関連学協会共催の「原子力総合シンポジウム」が7月16日、東京・六本木の日本学術会議講堂で開かれた。原子力事故調査などにより前回から4年ぶりの開催となった今回の総合シンポジウムでは、「原子力の将来のあり方」をテーマに掲げ、今後の研究炉利用など、原子力基礎科学に立脚した人材育成を焦点にパネル討論が行われた。
 パネル討論では、ファシリテーターを務めた東京大学工学部教授の上坂充氏が、新規制基準対応に伴いすべての研究炉が停止し再稼働の見通しが不透明な現状を述べ、原子力人材育成基盤の長期欠落がもたらしつつある中性子科学の停滞、利用者の海外流出などの影響を懸念し、議論に先鞭を付けた。
 これを受け、京都大学原子炉実験所長の川端祐司氏は、同学の研究炉「KUR」、「KUCA」を用いた共同研究を推進する「くまとりサイエンスパーク構想」や、全国の学生を対象に実験教育を施す「原子力安全基盤プロジェクト」を紹介し、早期の原子炉再稼働実現に努めているとしたが、必要な人員・予算の確保や施設の高経年化が課題となっている現状を憂慮した。さらに、近畿大学原子力研究所長の伊藤哲夫氏も、研究炉「UTR-KINKI」を用いた学校教員対象の原子炉研修会の実績を述べ、再稼働への意欲とともに、今後、研究炉の老朽化に鑑み「引継炉」計画の具体化を訴えた。
 また、三菱重工業の技術者で原子力学会教育委員会委員長を務める浜崎学氏は、原子力技術・研究者によるCPD(継続研さん)啓発に向けた学協会の連携を提唱し、研究炉利用に関しては、「シミュレーターでは理解できない」として現場体験の重要性を強調した。
 研究炉再稼働でまず課題となる規制基準については、放射化学教育に関する発言で登壇した原子力委員の中西友子氏が、海外の状況から「時間とともに変わっていくもの」などと述べ、見直しの必要を示唆した。
 討論を踏まえ、原子力学会の上塚寛会長は、今後の研究炉のあり方について検討するチームを近く始動する考えを述べた。