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ベルギーの原子力事業者:ドール1、2号機の運転期間延長条件と新たな原子力税で政府と合意

2015年7月30日

 ベルギーの稼働中原子炉全7基を所有するENGIE(旧:GDFスエズ)社は7月29日、ドール原子力発電所1、2号機の運転期間を10年延長するための条件について、子会社のエレクトラベル社がベルギー政府と原則合意に達したと発表した。 この合意はエネルギー・環境・持続可能開発省が公表していた新たな原子力税システムの全体的な枠組の一部となるもので、金額は電力ガス規制委員会(CREG)の今年3月の調査に基づいて算出予定。これらを盛り込んだ法案の審議を議会が夏の休会明けから開始する。成立後は同法で定められた原則を明記した協定の設定が可能になるとしている。

 ベルギーでは2003年の脱原子力法に従って、原子炉の運転期間を40年に制限し、2025年までに段階的に脱原子力を達成する方針。しかし、エネルギーの安定供給やCO2の排出抑制の観点から、2009年当時の政権は、40年の運転期間が2015年に満了するドール1、2号機(各46万kW、PWR)とチアンジュ1号機(100万kW級PWR)について条件付きで運転期間を10年延長するとの覚書を事業者のエレクトラベル社と交わした。その後、福島第一発電所事故を受けて、2012年の政権はこの覚書を破棄。運転期間延長を許すのは出力の大きいチアンジュ1号機のみとしたが、昨年10月に発足した現政権は冬季に十分な発電設備を確保するため、同年12月にドール1、2号機を2025年まで稼働させる方針を表明するとともに、その条件についてエレクトラベル社などとの協議を重ねていた。

 両者の合意によると、ドール3、4号機とチアンジュ2、3号機の運転に対し、現在検討されている2015年の課税額は2億ユーロ。2016年は1億3,000万ユーロだが、これに加えて、ドール1、2号機の運転期間延長条件である2,000万ユーロを加算する。2017年以降は、コストの変化や発電量、電力価格を考慮した計算式に基づいて、政府が税額を改定するとした。ドール1、2号機用の2,000万ユーロは、両炉が稼働する2025年までの均一料金としてエレクトラベル社が毎年支払っていくもので、6月末の制定法に基づいて創設された「ベルギー・エネルギー移行基金」に貯蓄。同国が脱原子力の達成を予定する2025年以降を見据え、エネルギーの生産と貯蓄分野における研究開発促進や革新的プロジェクトに活用されることになる。

 エレクトラベル社はまた、エネルギー生産に使用されなくなったサイトにかかる税金として、2015年に1億ユーロ、2016年に2,000万ユーロを支払うことに同意した。この税制が敷かれた2006年12月以降、これに抵抗する同社は政府と激しく論争してきたが、今回の協議にともない和解に応じたもの。
 
 なお、チアンジュ1号機については前政権の決定通り運転期間を10年延長することになるが、所有権の一部をフランス電力(EDF)が保有していることから、その運転条件はEDFとENGIE社、およびベルギー政府の3者協議に委ねられる。同炉およびドール1、2号機の運転期間延長にはベルギー連邦原子力規制局(FANC)との合意に基づく改修工事が必要で、ENGIE社はチアンジュ1号機用の6億ユーロに加え、ドール発電所の2基には7億ユーロを投資するとの見通しを示している。