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フィンランド:フェンノボイマ社が政府の条件をクリア、新設計画の建設許可審査開始へ

2015年8月6日

ハンヒキビ計画に採用が決定したロシア型PWRの「AES-2006」©ロスアトム社

ハンヒキビ計画に採用が決定したロシア型PWRの「AES-2006」©ロスアトム社

 フィンランド中西部のピュハヨキでハンヒキビ原子力発電所1号機(120万kW、ロシア型PWR)の建設計画を進めているフェンノボイマ社は8月5日、国内企業3社の協力により、建設許可申請時にプロジェクトの少なくとも60%は国内企業の保有でなくてはならないとする政府と議会の条件をクリアしたと発表した。雇用経済省(TEM)はこれを受けて、同社が6月30日付けで提出していた建設許可申請の審査手続を原子力法に基づいて進めると明言。手始めとして同申請に関するパブリック・コメントを年末まで募集する考えで、政府が正式な建設許可決定を出すのは2017年後半になるとの見通しを示している。

 フェンノボイマ社は同プロジェクトの「原則決定(DIP)」の有効期限である6月末に建設許可申請書を提出したが、その際、クロアチアの発電関連企業Migrit社の参加により政府の条件をクリアしたと主張。しかしTEMでは7月16日、Migrit社が欧州連合あるいは欧州自由貿易連合に実質的に所属する企業とは確認できなかったと表明していた。フェンノボイマ社の今回の発表によると、国内でロビーサ原子力発電所を所有・運転するフォータム社と、建設・プロジェクト管理会社のSRV社がそれぞれ6.6%と1.8%、新たに参加することになったほか、ステンレス鋼製造企業のOutokumpu社がこれまでの出資比率の12.3%を14.1%に上げることに同意。3社ともフェンノボイマ社を所有しているボイマ・オサケイティエ・グループの株主となり、建設プロジェクトにおけるフィンランド企業の出資比率は65.1%に到達した。

 フェンノボイマ社はこれにともない、出資比率に関する文書の改定版を作成してTEMに提出。この付属文書は6月に提出した建設許可申請書の一部となった。

 フォータム社はかねてより同プロジェクトに参加する可能性を示唆していたが、それはロシアの原子力総合企業ロスアトム社との別件の交渉が解決した場合に限ると明言。ロスアトム社はフェンノボイマ社株の34%購入を約束してハンヒキビ計画を受注したが、その一方で、ロシアの地域的発電企業「TGC-1」の所有権を巡り、昨年12月からフォータム社とロシアのガスプロム社を含む3社で交渉を行っていた。フォータム社は、現時点でもこの交渉は未解決のまま継続中だとしたものの、「フェンノボイマ社のプロジェクトはフィンランド社会にとって重要であると同時に、原子力発電は当社の戦略にとっても重要分野の1つ」と指摘。同社の原子力部門における幅広い経験と技術的ノウハウを役立てて欲しいとの抱負を述べた。

 SRV社は今回の合意の一部として、同プロジェクトのサプライヤーであるルスアトム・オーバーシーズ社、および主契約企業のTITAN2社とプロジェクト管理協定を結び、主にフィンランド企業側のプロジェクト管理にあたることが決定した。最終決定には放射線・原子力安全庁(STUK)の承認が必要となるが、同社は「この計画には国内法規や規制に精通した信頼出来る国内パートナーの参加が必須だ」と強調。プロジェクト管理の国内パイオニアとしての盤石な経験を同プロジェクトに活かし、同社の事業と立場を一層強化していきたいとコメントした。

 Outokumpu社は、フェンノボイマ社の発足当時から同社に関わってきた点に言及し、増資により投資金は2億1,000万ユーロから2億5,000万ユーロに増えるとした。フィンランド企業が十分な競争力を持つにはエネルギーの自給自足と電力市場における健全な競争が欠かせないと指摘した上で、同プロジェクトの過半数が国内企業の保有となったことを歓迎。またトルニオにある同社の圧延工場が国内最大規模の電力消費施設であることから、低炭素なエネルギー源を安定的かつ高い信頼性をもって確保できることは同社にとっても有利との見解を表明している。