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海洋研究開発機構が捕集調査、放射性セシウムの付着した海底堆積物が沖合に水平移動

2015年8月18日

 海洋研究開発機構は8月18日、福島第一原子力発電所沖合の水深500メートルおよび1,000メートルで3年間実施した捕集調査から、事故で放出された放射性セシウムの付着した海底堆積物が沖合に向かって水平移動している様子を捉えることに成功したと発表した。
 この調査研究は、同機構が米国ウッズホール研究所との協力で行ったもので、発電所から南東へ約100キロメートル離れた大陸斜面の1点(F1)の水深500メートルと1,000メートルに時系列式沈降粒子捕集装置(セジメントトラップ)を設置して、2011年7月より同地点同水深の粒状物の連続捕集を開始し、2014年7月までに回収されたものの主要成分および事故由来の放射性セシウムを測定した。
 測定結果によると、いずれの水深とも、観測開始直後の捕集粒状物から放射性セシウムが検出されており、その沈降量(フラックス)と濃度は、2011年9~10月に最大となり、その後、12月頃および2012年2~3月頃に増加した後からは徐々に減少していた。海洋生物活動に伴う季節変動やセジメントトラップ中の粒状物の土砂成分濃度を考慮した上、水深1,000メートルの放射性セシウムフラックスの方が水深500メートルのものより平均的に大きいことなどから、捕集された多くの粒状物が、海流によって水平方向に運ばれてきた放射性セシウムの付着した海底堆積物であると推定している。
 また、測定結果では、2012年と2013年の9~10月に放射性セシウムの小規模な増加が観測されており、台風通過後に浅海域の海底堆積物が巻き上り、流れによって海中を大陸斜面まで水平輸送されたものと推定している。
 本研究成果は、原子力事故に伴う海洋環境や生態系への影響評価などに活用されることが期待できそうだ。