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カザフスタンの原子力関係者による講演会が都内で開催

2015年8月25日

 カザフスタンの原子力関係者6名を研修招聘していたロシアNIS貿易会(ROTOBO)は8月24日、これらメンバーから同国における原子力開発の現状を紹介する小規模の講演会を都内で開催した。ROTOBOは経済産業省からの委託により、2008年からカザフの原子力関連産業人材育成事業を実施。研修メンバーは日本の技術や経験をカザフに持ち帰って役立てる一方、年に一度はカザフの原子力開発の現状情報を提供することにしており、今回の講演会は今年度2回目の研修事業の一環となる。講演会に参加した約50名からは、同国で近年進められている原子力発電所建設プロジェクトに対する質問が相次いだ。

 カザフは2009年にウラン生産量でカナダを抜いて世界第一位になるなど、ウラン資源に恵まれており、今年6月にはウルバ冶金工場内における低濃縮ウラン備蓄バンクの設立に向けて国際原子力機関(IAEA)と協定を締結することが決定した。原子力発電所についても、旧ソ連時代に出力15万kWの高速炉が熱電併給・海水脱塩用として1999年まで稼働していた背景から、現在新たな発電炉の建設プロジェクトを計画中。ロシアはいち早く協力を働きかけており、最大で出力120万kWのロシア型PWR(VVER)建設に関する協力覚書を昨年5月にカザフと調印したのに続き、10月には建設と運転に関する政府間協力協定案に仮調印している。

イドリソバ しかし、同計画の受注企業に関する質問に対して、エネルギー省エネルギー監督・管理委員会ライセンス評価部のM.イドリソバ主任専門家(=左写真)は、建設計画自体が未だ最終決定していないと強調。国として正式に決まれば入札が発表される見通しで、新設炉から出る廃棄物の扱いについても、すべては落札した国と企業間で決定することになるとした。具体的な入札日程に関しては、エネルギー省原子力・エネルギー監督・カレンタエフ管理委員会のY.カレンタエフ副委員長(=右写真)が「ロシアのほかに、米国、フランス、韓国、日本など世界各国の大手企業に招待状を出し、事前の打ち合わせがなされたところだ」と明言。日程が明確に決まっていないのに加え、炉型や出力、建設サイトについても最終決定していないことを重ねて強調した。

 建設サイトについては、これまでのところバルハシ湖近隣のウルケン村やアスタナ東方のクルチャトフ市が有力候補に挙がっており、クルチャトフ市のY.スタレンコバ副市長(=左下写真)は1992年に国立原子力センター(NNC)が設置された同市が、原子力分野のハイテク・パークとして発スタレンコバ展しつつあると説明。発電所の立地に同市が適していると専門家が指摘した点については、次のように紹介した。すなわち、地震や気候などの面で制限が無く、冷却水を取る水源にも恵まれていること。研究炉が存在するなど市民にとって原子力が身近であり、発電所サイトに選定された場合でも多くの支持が得られるとしている。また同市にとっても、発電所の誘致にはメリットがあると強調。NNCの設置によって優秀な学者や専門家などの人材がすでに整っているほか、その傘下に放射線安全・環境研究所があり、発電所の建設によりどのような影響があるか調査が可能であること、道路などのインフラ整備を通じ、新しい町としてさらに発展できること、などである。ただし、隣接するセミパラチンスク核実験場による被害を受けた住民がおり、そうした人々の痛みと気持ちを理解しつつ、国民全体が納得のいく形で政府が慎重に決めるよう希望するとした。世論調査の結果では拒絶反応的な意見はなかったものの、福島第一原子力発電所事故に関するネットやマスコミの情報から若干の不安を感じる住民もいるため、原子力技術は平和利用が可能であることを語っていくなど、住民の教育啓蒙活動が重要であるとの認識を示した。