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原賠制度専門部会 漁連より賠償取り組みヒアリング

2015年10月8日

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鈴木JF福島漁連専務理事(左)と若林JF全漁連部長

 原子力委員会の第4回原子力損害賠償制度専門部会が10月7日、都内で開催された。
 まず若林満全国漁業協同組合連合会(JF全漁連)部長が、福島第一原子力発電所事故損害賠償に対する取り組みについて説明した。JF全漁連では、賠償の確定や支払を迅速に進めるために県単位で被害状況をまとめ、県漁連および県漁協または都道府県域対策本部が窓口となって交渉を行ったほか、国との連絡・調整や県漁連等の情報提供のため、JF全漁連内に損害賠償に対する専任チームを設置して支援を行ってきた。賠償への主な課題としては、風評被害に対しても漁業者への万全かつ早期の賠償を実現すること、広範囲の海水・水産物モニタリングなど消費者に対しわかりやすく情報提供を行うこと、賠償対象者の特定を早期に進めること、操業を自粛した魚介類に対しても損害賠償の対象とすること――を実現するための仕組みづくりが必要だと主張した。
 続いて鈴木哲二福島県漁業協同組合連合会(JF福島漁連)専務理事が、福島第一原子力発電所事故損害への対応について説明を行った。2011年4月4日から9日まで汚染水が放出されたことに対して国と東京電力に対し原子力災害賠償を求めていくために、JF福島漁連では災害復興プロジェクトチームを作り、各組合員の漁獲損害・各漁協の販売手数料損害について団体賠償請求を行った。今後の課題としては、賠償請求を行う部署を明確にしておくこと、津波や事故による立ち入り禁止で資料が確認できなくなることのないように確実なバックアップを遠隔地にしておくこと、あらかじめ団体で交渉することの理解を得ておくこと――を提言した。
 各関係者からのヒアリングを終え、事務局が各委員からの意見を踏まえた検討課題の整理案を提示し、さらにこれをもとにした今後の進め方案を示した。まず議論を進める上での大前提として、原子力損害賠償制度の基本的枠組みと制度の目的等について意見交換を行う。その後「原子力損害賠償に係る制度の在り方」として、無過失責任および責任集中、責任の範囲と損害賠償措置、事業者の法的整理、免責規定等について議論する。次に「被害者救済手続きの在り方」として、被害者救済手続き全般に関わる事項や、原子力損害賠償紛争審査会および原子力損害賠償紛争解決センターについて話し合いを進めていく。今後の議論によっては、この進め方にこだわらず柔軟に進めていくことも確認した。
 これからの議論で検討すべきこととして、大塚直委員は、原子力損害賠償を有限責任化した場合、事業者が事故対策投資を低減する懸念があることや、保険会社の負担の限界を超える賠償について国の負担を法律で明示する必要があることなどを指摘した。山本和彦委員は、損害賠償の紛争解決ツールをより豊富なものにしていく工夫や、債務者である電力会社の債権者や株主に負担を求めていく仕組みについての検討が必要だと述べた。阿部信泰原子力委員は、できるだけ国民の納得いく解決策を示してほしいとして、十分な議論を尽くすことを求めた。