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米国:経済性の悪化からピルグリム原子力発電所が2019年6月までに閉鎖へ

2015年10月14日

Pilgrim 米国の大手原子力発電事業者のエンタジー社は10月13日、マサチューセッツ州のピルグリム原子力発電所(BWR、71万kW)(=写真)を2019年6月1日までに閉鎖する決定を下した。供給地域におけるエネルギー価格の下落や、偏った市場構造の改善が近い将来に見込めないこと、運転コストの上昇による収益の減少などを理由として列挙。同社はすでに、電力供給地域である米北東部ニューイングランドの独立系統運用会社(ISO-NE)にこの方針を通達済みだが、正確な閉鎖期日はISO-NEとの詳細協議を含めたさまざまなファクターを踏まえて2016年前半に決定予定で、閉鎖後は廃止措置に移行させる考えを明らかにしている。

 ピルグリム発電所は1972年に営業運転を開始。同炉を閉鎖する理由の詳細について、エンタジー社は次のように説明した。
(1)近年から将来にわたって予測されるエネルギー卸売価格の下落は、ニューイングランド地域における天然ガス価格の記録的な低下によってもたらされ、ピルグリム発電所の収益を大幅に悪化させた。電力価格は1MWhあたり約10ドル分落ち込み、ピルグリム発電所における年間損失は4,000万ドル以上にのぼった。
(2)エネルギー卸売市場の構造上の欠陥が供給地域におけるエネルギーと容量の価格を抑え続けており、低炭素で信頼性が高く、年中無休の発電が可能という原子力発電所のメリットに対して相応の報酬が提供されない。このような欠陥の是正努力が過去数年にわたって行われたものの、十分効果があったとは言えないのに加え、再生可能エネルギーに補助金を交付するという州政府の提案はピルグリム発電所の経済性を脅かしている。州政府はまた、マサチューセッツ州の電力需要の3分の1以上を賄うカナダの水力発電事業者に市価を上回る価格を提示。天然ガス価格をさらに下げるよう指示し、ニューイングランド地域における天然ガス依存を深めたことも影響した。
(3)ピルグリム発電所の安全性や信頼性、セキュリティを向上させるため、これまで数億ドル規模の投資を行ってきた。しかし、運転コストは上昇し、米原子力規制委員会(NRC)による今年第3四半期の原子炉監視プロセス(ROP)では、5段階中4番目に悪いレベル「複数の、あるいは繰り返された根本的な問題あり」と判定された。いかなる原子炉についても必要な投資は常時行う考えだが、長期的な運転継続が経済的に実行可能でない場合は、それが株主に及ぼす影響についても考慮しなくてはならない。

 閉鎖後の廃止措置については、エンタジー社は今年9月末現在で約8億7,000万ドルの信託金があると明言。必要な財政保証額2億4,000万ドルを超えており、閉鎖活動計画の提出は、その他の財政保証が必要であるかを判断して行うとしている。