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米エンタジー社:フィッツパトリック原子力発電所を2017年初頭までに閉鎖へ

2015年11月5日

©エンタジー社

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 全米で約1,000万kWの原子力発電設備を操業するエンタジー社は11月2日、ニューヨーク州のJ.A.フィッツパトリック原子力発電所(87.9万kW、BWR)(=写真)を2016年末から2017年初頭にかけての、現行の燃料サイクル終了時に閉鎖するとの方針を明らかにした。低価格な天然ガスと構造的な欠陥のある電力市場が同発電所の収益を大幅に悪化させている現状を説明する一方、州内にはまだ、同社所有の原子力発電所が稼働中である事実に言及。低炭素で信頼性があるというだけでなく、エネルギーの供給多様化やセキュリティにも貢献する原子力発電設備を引き続き維持していく考えを強調した。
 
 今回の決断に際し、エンタジー社と州政府当局は同発電所の閉鎖を回避する建設的かつ互恵的な合意に到達できるよう、2か月間にわたり辛抱強い努力を重ねたという。しかし、競争市場環境下にあるプラントが直面する不利な条件や、長期にわたる卸売価格の低下など、財政的な課題の解決には至らなかったとした。同社は所有する資産毎に評価を行った結果、マサチューセッツ州のピルグリム原子力発電所(71万kW、BWR)を2019年6月までに閉鎖する方針を10月13日に表明。フィッツパトリック発電所についても、運転実績は良好ではあるものの閉鎖せざるを得ないという結論に達したとしている。同社はすでに、同州を制御エリアとしている「ニューヨーク独立系統運用機関(NYISO)」、および州の公益事業委員会にこの判断を通達済みである。

 同発電所は1975年から州内の80万世帯に電力を供給。その閉鎖判断につながった財政ファクターについて、同社は次のように説明した。
 (1)発電所の近隣に存在するシェールガス田「マーセラス」により、天然ガスは記録的な低価格となり、電力卸売価格は長期にわたって低迷。下げ幅は1MWhあたり約10ドルに達しており、フィッツパトリック発電所の収益である6,000万ドルを上回る年間損失の計上が予想される、
 (2)電力市場の構造的な欠陥により原子力発電所の利点が正しく認識されず、それに見合った適切な補償が行われていない。原子力発電所は電源多様化や温暖化防止に貢献するほか、年中無休で発電可能な大型電源である、
 (3)これまで同発電所の安全性と信頼性の改善で多額の投資を行ってきたが、単機発電所であるが故の高コスト構造が災いし、原子力の利点が無視される市場においては長期的な採算性が望めなくなった、
 (4)電力供給量が過剰で需要量も少ないという地域的な制約が、同発電所の収益を悪化させた、--である。