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核融合研、スパコン「プラズマシミュレータ」で重水素実験に向けた成果

2015年11月12日

 核融合科学研究所は11月11日、6月から稼働を開始したスーパーコンピュータシステム「プラズマシミュレータ」を用いて、大型ヘリカル装置(LHD)の重水素プラズマ中に発生する波や渦といった乱れをシミュレーションし、軽水素に比べて重水素のプラズマでは乱れが抑制されることが明らかになったと発表した。
 LHDは、核融合エネルギーの実現に向けた世界最大級の超伝導プラズマ閉じ込め実験装置で、核融合炉設計に必要な基礎的データを取得するのに必要な重水素実験が、2016年度末より開始される予定。今回の成果は、続くLHD重水素実験における高性能プラズマに関する研究につながるもので、最新鋭の「プラズマシミュレータ」の活用によって、核融合研究が飛躍的に進展することが期待されそうだ。
 核融合科学研究所が取り組むヘリカル方式の研究開発状況によると、核融合炉設計条件として、プラズマの温度を1億度以上にまで加熱する必要があるが、プラズマの温度向上と長時間維持に向け、プラズマの複雑な乱流を解析する必要がある。そのため、同研究所では、プラズマの乱れをシミュレーションするためのプログラムを改良し、旧システムで計算に400時間、全体解析に8か月を要した乱流シミュレーションを、最新鋭の「プラズマシミュレータ」でそれぞれ50時間、1か月で実行可能とした。今回のシミュレーションで、「捕捉粒子」と呼ばれる磁場の中を往復運動する粒子が生み出す乱れを解析し、従来の軽水素に比べて重水素のプラズマでは、乱れが抑制されて熱の閉じ込めが改善され、その原因が、「ゾーナルフロー」と呼ばれる現象で、大きな渦や波を効果的に分断するためであることが明らかになったとしている。