フォントサイズ:

基本的考え方ヒア 宮沢氏「産学官の効果的な連携で原子力イノベーションを」

2015年11月18日

MiyazawaDSCF5053 原子力委員会は11月17日、エネルギー計画コンサルタントの宮沢龍雄氏から原子力利用の「基本的考え方」についてヒアリングを行った。
 宮沢氏は、研究開発の基本要素として、頭脳に相当する「政策・計画・戦略」、筋肉に相当する「技術者・研究者」、骨格に相当する「組織・インフラ」、血液に相当する「財源・資金」を挙げ、それぞれが効果的に機能して原子力イノベーションを展開していくことが重要だとした。
 研究開発の全体計画について、経済産業省が2014年12月に文部科学省と共同作成した技術開発ロードマップ中の「軽水炉安全」「廃止措置」など5つの項目をそれぞれ「高融点燃料開発研究」「デブリ取り出し向け遠隔技術」などの具体例に落とし込み、応用的要素を必要とする例が多いことから研究機関の取り組みに期待するとした。
 人材育成上の課題として、原子力は巨大システム技術であることから、構成技術の幅が広い上に個別専門技術と統合化技術が要求され、基盤技術力の醸成および専門性の深耕と多角・多面な能力向上が求められるとした。また機器やシステムは数十年の性能維持が必要であり、廃棄物管理は数千年にもおよぶため、新規技術への移転や技術継承やモチベーション維持の枠組み構築など長期にわたる技術のライフサイクルも重要となる。さらに高品質を維持するためには、技術基準・指針に合致した最高の品質の追及および技術的・経済的効率向上への取り組みのコンセプト創生や物つくりのスキル向上なども欠かせないとした。そのほか国際化への対応や情報セキュリティの強化についても触れた。
 組織とインフラに関しては、人材育成と基礎研究による将来展望を担うリードオフ組織である大学、基礎研究から開発までの技術移管などを牽引する応用研究の中枢である研究機関、高品質製品の創出や高度安全原子炉技術の国際的な連携供給を担う企業が、それぞれビジョンを明確にして連携を進めることが大切だと語った。先端科学機器や装置の共同利用は活発であり委託研究や共同研究も大きな効果を挙げているとして、今後は研究成果の情報開示のスピードアップや研究論文および技術者同士の情報交換などにも期待を寄せた。
 研究開発資金については、官民連携による新たな研究開発プロジェクトスキームについて実用指向性や連携の主体性のバランスなどから考察し、PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアチブ)の実施例として、実験施設の整備と維持管理および研究支援を包括してアウトソーシングし、計画・実施の確実性と効果的な履行モニタリングの仕組みを備えた幌延の深地層研究計画地下研究施設整備事業を挙げた。
 岡芳明委員長が研究開発のPDCA(計画→実行→評価→改善)管理サイクル中のPが弱いという指摘には、自身の経験からも戦略は重要であると語り、これまでの成功例や失敗例をデータベース化して活用することなどを提案した。