フォントサイズ:

露ロスアトム社:バックエンド関連技術ワークショップを日本で初開催

2015年11月27日

 ロシアの国営原子力企業ロスアトム社は11月26日から2日間、都内のホテルで「ロシアのバックエンド関連技術ワークショップ」を開催した。廃炉や放射性廃棄物、使用済み燃料に関するロシア企業の幅広いソリューションを日本に紹介するのが目的。同社は昨年夏、福島第一原子力発電所の汚染水からトリチウムを分離する技術の検証試験事業で、経済産業省から採択事業者の1つに選定され、2016年3月までに傘下のRosRAO社が実現の可能性がある技術の実証ユニットで分離性能や関連コストを評価することになっている。同社にはチェルノブイリ事故の処理経験もあることから、福島第一事故後も原子力発電の継続を決めた日本とは団結して処理にあたることが重要と認識。また、日本がロシアと同じクローズド燃料サイクルを推進している点からも、バックエンド分野の多くの部分で協力できると確信しており、今回そのためのワークショップ初開催に至ったと説明している。

 まず、駐日ロシア大使館のE.アファナシェフ特命全権大使がロシアの原子力産業全般について紹介した。石油や天然ガス、石炭などの天然資源に恵まれたロシアでも原子力発電所なしで経済発展することは難しいとし、現在、33基の発電炉で総電力需要の17%を賄っている事実に言及した。ロスアトム社の活動については、欧州や中東、アジアで30基の原子炉を建設中であり、海外における契約総額は100億ドルに上ると強調。世界中でこれほど広範に原子炉建設を行っているのはロスアトム社だけであること、原子炉のほかにも燃料サイクル・サービスや原子炉近代化契約も請け負っており、ウランの採掘・濃縮・加工まで一貫した事業を抱える企業としても世界唯一である点をアピールした。また、環境汚染対策や産業廃棄物の処理、放射性廃棄物や核燃料の取り扱い、除染についてもロスアトム社には最新設備と技術があるとしており、同社のバックエンド技術を活用すれば福島第一発電所の汚染水からトリチウムを除去することも可能と自信を表明。日露両国が最近になって政治的な交流も深めている点にも触れ、燃料サイクルのバックエンドは相互利益のために協力できる重要な分野であるとの認識を示した。

Kryukov 同社のO.クリュコフ・バックエンド政策担当ディレクターは、バックエンドに関するロシア政府の政策について説明した。同国では使用済み燃料は再処理によって量を削減する、再利用するというのが基本方針で、このためのインフラ整備や技術開発、乾式貯蔵システム、MOX燃料の開発などが進んでいるとした。2011年にはロシアで放射性廃棄物の管理に関する法的基盤となる連邦法が制定され、廃棄物の収集や分別、処理、輸送などの管理が定義された。これまで再処理しない方針だった100万kW級・ロシア型PWR(VVER1000)から出る使用済み燃料についてもクラスノヤルスク地方の鉱業化学コンビナート(MCC)で加工技術の開発が進められ、クローズド燃料サイクルの完結に向けた作業が大きく進歩していることを明らかにした。特に、ウランとプルトニウムの新たな再利用方法に関する研究開発が進んでおり、フローピン・ラジウム研究所では回収ウランとプルトニウムを混合したREMIX燃料を開発中。VVER1000の炉心で繰り返し燃やせる同燃料では、天然ウランの消費量を20%削減することが可能になると強調した。

Komarov K.コマロフ筆頭副総裁は、1990年に日露間で濃縮ウランの売買契約が締結されて以降、日本の需要の15%にあたるウラン製品の供給実績に言及。最近になって核物質を輸送する日本海経由のルートが確立され、コンビナートのゲートから従来の6分の1である18日間で輸送可能になったという事実に触れた。福島第一事故後も日本政府が原子力発電を日本の発電における重要な要素として継続する方針を策定したことから、ロスアトム社としても日本のプロジェクトに対する協力が可能だと指摘。ロシアはチェルノブイリ事故の「お陰で」さまざまな課題を解決する必要に迫られ、関連技術が着実に発展したと述べた。バックエンド分野では特に、福島第一事故後の処理が全世界の原子力社会にとって重要事項であり、日本が直面する問題に対しロシアで最高の技術を役立てられる。同社は現在、日本の「廃炉・汚染水対策基金」を得て汚染水からのトリチウム分離技術の実証事業を進めているが、使用済み燃料の再処理経験も国内外で十分に積んでいるほか、福島第一以外の原子力発電所で廃炉サービスを提供することも可能だと強調。ロシアにとってバックエンド技術は核燃料サイクルを完結させる重要要素だが、ロスアトム社による幅広いサービスのほんの一部であり、日本には是非このサービスを提供していきたいとの抱負を述べた。