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基本的考え方ヒア 鳥井氏「エネルギーには世界の将来という視点が大切」

2016年1月6日

ToriiKihontekiDSCF5329 原子力委員会は12月24日、鳥井弘之科学技術振興機構事業主幹/日本経済新聞社社友から原子力利用の「基本的考え方」についてヒアリングを行った。
 鳥井氏は、原子力とコミュニケーションについて考察し、日本が自国で使うだけのエネルギーを考えているだけではなく、世界の将来という視点が必要だと強調。さらに、日本の原子力への取り組みに対し、「検討はしているものの政策として出てきていないのでは」と疑問を呈し、誰かが原子力の再構築のシナリオを考えて実行を促す役割を果たすべきだと語った。
 また、社会とのリスクコミュニケーションにおいては、「安全であることへの理解」、「リスクを伝えた上でいかに制御するかの理解」、「対話を通じた相互理解や相互信頼」、「対話を通じた社会と技術システムの共進化」――という段階を示し、技術至上主義が勝り、対話主導型となっていないのが現状と指摘した上で、専門家が市民に対して誠意を尽くして対話に臨み、一方で、市民側も積極的に対話に参加し、科学技術リテラシーを身に付けていくことが重要だとした。
 岡芳明委員長がコミュニケーションのあり方について質問したのに対して、鳥井氏は、原子力学会の部会で文化庁に専門家が使っている用語について意見を聞いたという話を取り上げ、輸入したままのカタカナ用語(例:セイフティケース=ホテルに貴重品を預ける箱?)や、一般的に別の意味で使われる訳語をあてはめてしまった熟語(例:再処理=二度目の処理?)がそのまま使われ、全く社会に通用しない表現であることを指摘された例を挙げて、「言葉は相手が使っている意味で使わない限りは曲解される懸念があることなどに注意して正しい日本語を使っていかなければならない」との意見を述べた。
 この他、鳥井氏は、エネルギーに求めることとして、一般市民にとっては原子力でも何でもよいので普通の生活を送ることができ家計に負担がないこと、地域にとっては支障のない住民生活と地域興しおよび税収拡大や国の補助金獲得、国にとっては国民生活、国民の安全、産業政策、地方行政、外交政策、科学技術政策、エネルギー政策、緊急時(リスク)対応など、それぞれ違った視点があることを挙げた。さらに人類と地球にとっては100億人の需要を賄えること、CO2フリーであること、世界の貧困を解消すること、地殻変動や気候変動に強いこと、生物多様性など自然界と両立できること、資源量や偏在などの資源制約が小さいこと、悪用され難いことなどを考慮したエネルギー源が大事であると再度確認した。