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フランス:使用済み燃料地層処分場の建設・操業コストで見積評価額に差異

2016年1月14日

CIGEOの概念図©ANDRA

      CIGEOの概念図©ANDRA

 フランスでは使用済み燃料を含む高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分場として、地下500メートルの粘土層に少なくとも100年間、回収可能貯蔵できる「CIGEO」施設の建設計画を進めているが、近年は建設・操業コストの見積評価額に関係者間で大幅な差異のあることが顕在化している。仏原子力安全規制当局(ASN)は1月11日、CIGEOプロジェクトを遂行する上で基準コストの改定は非常に重要であり、早急に実施する必要があると発表。決定責任を有するエコロジー・持続可能開発・エネルギー省(以下、「エネルギー省」)は、新たな基準コストを設定するかについての判断を迫られている。

 CIGEO施設の建設サイトは、東部のムーズ県ビュールに位置する30平方キロメートルの圏内とすることが2010年に決定しており、1万立方メートルのHLWと7万立方メートルの長寿命中レベル廃棄物が同地区の粘土層に貯蔵される予定。現在は予備設計段階が終了しつつあり、2016年~2017年にかけて承認申請書の作成を目的とした詳細設計関係の調査を実施。承認取得後、2020年にも貯蔵施設を着工する計画だ。建設・操業コストは廃棄物を発生させるフランス電力(EDF)、アレバ社、原子力・代替エネルギー庁(CEA)が全面的に負担することになっており、これらの事業者と放射性廃棄物管理機関(ANDRA)、およびASNを含めたエネルギー省の作業部会は、135億~165億ユーロ(約1兆7,000億~2兆1,000億円)という評価結果を2005年に明示した。しかし、ANDRAが2014年10月にエネルギー省に提出した非公開の報告書には、新たな評価結果として344億ユーロ(約4兆4,000億円)というコスト総額が盛り込まれていた模様。一方、3つの原子力事業者も2015年4月、エネルギー省宛ての共同名義書簡の中で、「事業期間中の技術的、経済的な最適化等により、コスト総額は200億ユーロ(2兆6,000億円)になる」との見解を表明していた。

 今回の意見表明の中でASNは、ANDRAの2014年報告に基づいて基準コストの改定を行うべきだと勧告した。ANDRAの技術的および経済的前提のいくつかは過度に楽観的であり、このような評価において重要な慎重さとは不釣り合いだとしたものの、現段階で不確定要素があることは避けられないと指摘。基準コストを定期的に、具体的にはプロジェクトの主要段階ごとに改定するメカニズムの制定が必須であると明言した。これに対してEDFとアレバ社、およびこれら2社と協議を行っていたANDRAも、同日に共同声明を発表。貯蔵施設の開発・建設は長期の操業期間全体にわたって徐々に行われることから、すでに決定済みの開発計画案には、部分的に最適化や技術革新が施され、技術開発の進展状況や後続段階における最適化調査の結果次第で、コストにも異なるバージョンが存在し得るとした。しかし、会計検査院(CDC)の評価では、廃棄物の貯蔵費は原子炉の運転期間全体における総発電コストの1~2%程度であり、CIGEOプロジェクトの異なるコスト評価が消費者の電気代に大きく影響することはないとの認識を示している。