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米エネ省:CO2の排出削減で官民折半の新型原子炉開発に新たな投資

2016年1月18日

 米エネルギー省(DOE)は1月15日、温室効果ガスの排出量を一層削減するというオバマ政権の目標を達成するため、官民折半の新型原子炉設計開発に最大8,000万ドル投資するという計画を発表した。X-エナジー社のペブルベッド型高温ガス炉(HTGR)開発、およびサザン・カンパニー・サービス社の溶融塩高速炉(MCFR)開発を支援対象として選定したもので、これらの次世代原子炉の建設・運転に向けて、設計や燃料開発における技術的課題への取り組みをサポートする。2035年頃の設計技術の実証を念頭に、差し当たり600万ドルずつを2016会計年度分として両チームに交付予定。複数年計画でそれぞれに総計4,000万ドルまで投資するとしている。

 米国では原子力発電が総発電量の約20%、低炭素電力による総発電量については約60%を賄っていることから、世界的な低炭素経済への移行を米国が牽引する上で、原子力はオバマ政権のクリーン・エネルギー戦略における重要な構成要素と認識されている。このため、ホワイトハウスは2015年11月、「原子力の技術革新を加速するゲートウェイ(GAIN)」イニシアチブを創設し、新型原子力システムの商業化で産業界に技術面、財政面、規制面での支援が円滑に行えるよう、DOEの人的資源や施設、資機材、データを広範に利用できるアクセスポイントを設定。今回の新しい投資計画は、GAINイニシアチブの下で想定された官民パートナーシップの一例という位置付けになる。

X-エナジー社の「Xe-100」設計
 メリーランド州でX-エナジー社が開発しているペブルベッド型HTGR「Xe-100」は、DOEが次世代原子炉/新型ガス炉プログラムで資金投入していた3重被覆層の燃料粒子(TRISO)技術がベース。DOEの投資金に自社の資金を加え、人口密集地域でも住民の安全確保が可能な小型炉設計の炉心モデリングと燃料加工技術を開発する。開発チームには、バブコック&ウィルコックス社が分社化した原子力事業専門のBWXテクノロジーズ(BWXT)社のほか、航空宇宙・エネルギー・防衛産業大手のテレダイン・ブラウン・エンジニアリング社、炭素製品製造専門のSGLグループ、オレゴン州立大学、アイダホ国立研究所、およびオークリッジ国立研究所(ORNL)が参加している。

サザン・カンパニー・サービス社のMCFR
 同社の親会社であるサザン社は、米国で約30年ぶりという新設計画となるボーグル3、4号機をジョージア州で増設中だが、MCFRは運転性能や安全・セキュリティ、および経済的価値においても、その他の先進的原子炉概念を凌駕すると確信している。同計画には、マイクロソフト社を創業したビル・ゲイツ氏が後援するテラパワー社が参加しているほか、非営利のエネルギー研究共同組織の電力研究所(EPRI)、ORNL、バンダービルト大学が協力。テネシー州のORNL内で、MCFR開発における有効性試験や材料物質の適性調査を効果的に実施していくことになる。