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仏EDF会長:EU統一電力市場における市場設計の早急な改革を提言

2016年2月25日

 フランス電力(EDF)のJ.-B.レビィ会長兼CEOは2月23日、欧州の統一電力市場で再生可能エネルギーへの移行に伴う課題に取り組みつつ顧客の期待に応えるには、電力市場設計の早急かつ大幅な改革が必要だと提言した。EU域内エネルギー部門の大手事業者をブリュッセルに集めた第2回エネルギー・サミットの席で述べたもので、欧州委員会(EC)が現在進めている電力市場設計の改革イニシアチブに対し、EDFグループとしての賛意を表明。今年後半に新しい電力市場設計のガイドラインが示されるのに先立ち、欧州が低炭素な電力供給ミックスを実現するために重要な設計改革上の優先項目を指摘している。

 EUでは域内電力市場の統合を目指した電力自由化指令が1996年に採択され、加盟国における電力市場の自由化が始まった。また、地球温暖化防止の観点から再生可能エネルギーの利用促進指令が2009年に採択されたほか、2030年までに温室効果ガス排出量を1990年レベルの40%減とするため、欧州理事会はEU全体のエネルギー消費量に占める再生エネの比率を27%に引き上げるなどの目標を設定。各国で同エネの優先導入策が取られている。しかし、大幅に増強された再生エネ設備からの発電電力が優先的に電力系統に流入することで従来型電源の稼働率が低下する一方、需要変動への追従で従来型電源に求められていた出力調整量が大きくなるという課題が浮上。また、卸電力価格の低下により、閉鎖を余儀なくされる従来型電源も出るという状況にある。
 このためECは、2015年7月から10月にかけて域内の関係者に対するコンサルテーションを実施。再生エネ開発を継続しながら需要変動にも柔軟に対応でき、供給不足に陥るリスクも回避可能という電力市場設計についての意見を募集した。産業団体やエネルギー関係企業、送配電系統事業者、政府および規制当局などからのコメントをまとめた結果、需給逼迫時の価格上昇などを反映した価格形成や、価格への上限設定が効率的な価格形成の大きな妨げとなる点で多くの関係者が同意。電力市場に再生エネを全面的に統合すべきだとの考えにも支持が集まったとした。一方、再生エネに対する公的支援スキームの廃止については意見が分かれており、出来るだけ早急に打ち切るべきだとする見解と、技術が成熟するまでは維持すべきだとの見解があったとしている。

 EDFのレビィ会長によると、電力市場設計の改革において重要となるアクションは、非化石燃料発電設備への投資が促進されるようCO2の下限価格を域内で早急に設定すること。近年の試算では1トンあたり少なくとも30~40ユーロ(約3,700円~5,000円)とすることが可能だとした。また、域内で長期的にエネルギー供給を保証するため、効果的な容量メカニズムを促進する必要があると指摘。市場が混乱することはあっても、すべての顧客の利益を優先することになると強調した。同会長はまた、2015年末にパリで開催された21回目の国連気候変動枠組条約・締約国会議(COP)では、地球温暖化防止で電力の果たす重要な役割が示されたと評価。EDF自身のエネルギー・ミックスと投資努力を通じて、世界的な低炭素化への移行と顧客の利益を一致させられるよう、ECエネルギー部門が進めている電力市場設計改革を積極的に支援したいと表明した。