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World Nuclear News ー Viewpointより:「原子力産業界は今こそワンボイスで」

2016年3月8日

World Nuclear News – Viewpointより転載

              「原子力産業界は今こそワンボイスで」
       CANDUエナジー社の社長兼CEO兼CNO プレストン・スワフォード氏

(2016年2月29日公開)

 原子力産業界は現在、重要な岐路にさしかかっている。われわれのチャンスを最大限に活用しようとするならば、より広い世界に対するわれわれのアプローチを相互に再評価する時期にきていると言える。
 世界は毎日変化し、経済、エネルギーの発展と気候変動の深刻化が新たな課題と新たな機会をもたらしている。
原子力産業界とて違いはなく、これらの進展の影響を受けないわけではない。何十年も前に世界の現状を予測できなかったように、この時点で原子力産業界の未来を知ることはできない。
 原子力産業界は今や分岐点に差しかかっており、われわれには、変化し続ける世界の乗客であり続けるか、あるいは積極的に取り組んで世界の新しい優先課題を達成するための最良の位置に身を置くか、という選択肢がある。産業界はこれらの新しい課題に自発的に挑戦し、気候変動の影響に対処し、あるいは増加し続ける電力需要を満たす能力があることを知っている。
 気候変動に対する関心を高めることは、われわれが正しい立場を取りさえすれば、大きなビジネス展望につながる可能性がある。原子力は気候変動対策において重要な役割を果たすというコンセンサスはますます高まっており、科学者や政治家等によって支持されている。このような展望を、急成長を見込んで原子力を計画しているアジアの新興市場と結びつければ、大きな成長の機会を得ることができる。
 来たるべき変革の解決策の一部として原子力に注目すれば、新しい成長の好機に近づくことができる。それではどのようにこれを達成するのか?答えは簡単である。互いに協力する必要がある。われわれは連携を通じてのみ、原子力利用に関して世界が懸念する安全性とコストという2つの重要事項に対処することができる。

互いに協力する
 発電に関する世界各地の競争が高まる中、原子力産業界は団結し、原子力の長期的実行可能性の強化という共通の目標に向かって努力する必要がある。
 それぞれが自らの企業を代表し、それが時にはライバルがパートナーになることを意味するとしても、互いの関係は互恵的である。多くの点で、原子力産業界は小規模であり、脆弱であり、反対する者が多すぎるため、われわれは希少な資源を費やし、互いに戦うはめになる。組織間で、また市場で協力し、われわれの強みを結合させ、弱点を克服して、より良い製品とサービスを作り出す道を見出すことができる。
 われわれの組織は、機器製造業者から電力会社や供給業者を囲い込むことが業務である組織まで、将来のエネルギーミックスの必須要素として原子力発電を推進するために、共通言語で話す必要がある。われわれが1つの結束したユニットとして前進した場合、変化に直面して素晴らしい力となることができる。

安全性の向上
 われわれは共に、原子力産業界からの安全メッセージの改善に力を注がなければならない。原子力産業界以外の人々は、原子炉設計者、原子炉供給者(ベンダー)、または事業者を区別できない。世界のどこかで安全に関する問題が起こった場合、われわれはそれに対して直接的かつ統一された方法で回答することが期待されている。われわれは業界用語と統計を用いる傾向がある。それらは専門技術者や業界の集まりでは完璧に通じるが、一般の人には十分に伝わらない。原子力産業界の信頼を改善する最良の方法は、率直かつ透明性あるコミュニケーションである。われわれは安全が容易に理解されることを願っており、誰もが正確に事態を把握しやすくなることを願っている。
 また、われわれが活動している地域社会とつながりを持つことも、安全への献身を実証する上で必要不可欠である。過去に、産業界は若い世代が原子力への関心を高めるために非常に努力してきた。福島事故後、われわれは再び努めて新世代を有効に育成する必要がある。われわれが開発した安全措置に関してもっと積極的に発言し、彼らと意思疎通を交わす方法を再考する必要がある。このメッセージを絶えず発信し続ければ実行可能で、安全な低炭素エネルギーの供給源としての原子力発電に対するより良い認識につながる。われわれの共通の声(ワンボイス)を駆使して、原子力の前向きな本質を説明することにより、より広く受け入れられることになる。

コストを管理する
 次に連携が必要な領域は、コストという大きな領域である。安全性に加えて、多くの人々は原子力のコストについて懸念している。原子力プロジェクトはスケジュールと予算を超過する傾向があるため、そのように考えるのも無理はない。
 特に、残念なことに、最近の新規建設プロジェクトと寿命延長プロジェクトはこうした傾向にある。1970年代後半から1980年代にかけて、大型原子力プロジェクトは長期にわたる遅延のために困難を伴った。重要な教訓の蓄積により、必要な是正措置を実施して、寿命延長プロジェクトでも新規建設でも、これらの問題が再び発生するのを防ぐことができる。われわれはすでに万全を尽くして、品質管理計画、特にコストをより良く管理し、プロジェクトの予測可能性を高めることができる計画を作り上げた。
 一致協力して、原子力産業界のあらゆる側面を革新することは、コスト削減と利益率向上のために不可欠である。ロシアが最近開発した、原子炉容器が100年の運転に耐えることができる技術や、CANDUエナジー社の軽水炉からの使用済燃料を利用できる代替燃料原子炉のような新しい技術は、コスト管理にとってますます重要になる。
 他のエネルギー源とのコスト競争力を維持するという課題は高まっているが、主要パートナー間のより密接な連携によって、われわれは専門知識を共有することができる。この知識の共有は、原子力産業界の先駆的な革新的戦略を支援してエネルギー出力の最大化と廃棄物蓄積の最小化を可能にし、気候変動に対処する上で役立つ。

行動を起こす
 今こそ原子力産業界が未来の成長と成功を確実に手に入れるために再考する時である。われわれは福島事故後の世界における一般の人々の信頼を獲得することができるし、獲得しなければならない。今、共に行動することを選択した場合、安全で、経済的な低炭素エネルギーを保証できる方法で市場にサービスを提供できるよう、連携しながら、個別に、かつ創造的に考える必要がある。待つのではなく、行動を起こそう、集団的かつ積極的な選択を行い、一緒に行動を起こそう。

【プレストン・スワフォード氏について】
 プレストン・スワフォードは、カナダのトロントに本社を置くSNC-Lavalin Inc.のCANDUエナジー社の社長兼CEO兼CNO(最高原子力責任者)である。スワフォード氏は、SNC-Lavalin社の拡大する原子力事業の責任者として、カナダ全土と主要な国際市場で技術サービス、大規模補修、及び新規建設に関して活躍している。スワフォード氏は2014年3月に、原子力発電執行副社長とCNOを務めたテネシー峡谷開発公社(TVA)からSNC-Lavalin社に入社した。