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量子科学技術研究開発機構が発足、放医研と原子力機構の相乗効果発揮へ

2016年4月4日

「量子科学技術研究開発機構」プレートの除幕式、放医研名も併記

「量子科学技術研究開発機構」プレートの除幕式、放医研名も併記

 放射線医学総合研究所と日本原子力研究開発機構の量子ビーム・核融合部門が統合し4月1日に発足した量子科学技術研究開発機構の発足記念式典が4月3日、千葉市の同機構本部(旧放医研本部)で行われた。放医研と原子力機構がそれぞれ蓄積してきた知見・ノウハウの相乗効果を発揮させ、さらなる学理的な理論究明とともに、医療、バイオ、エネルギー、材料開発など、幅広い分野でイノベーションを創出し、社会に貢献することを目指す。
 式典には、馳浩文部科学大臣他、政界、自治体、学界などから多くの来賓が訪れ、新たな組織の門出を祝った。量子科学技術研究開発機構前身の放医研ではこれまで、重粒子線がん治療装置を活用し、多くの放射線医学利用に係る研究開発を行ってきたほか、患者治療でも既に9,000人を超える実績を有しているが、馳大臣は、式典に臨む前に、治療台を傾けずに重粒子線を照射できる回転ガントリーを設置する新治療研究棟を視察した。自身も治療台に横たわるなどして研究棟を視察した馳大臣は、式典の挨拶の中で「国民の目線を意識しての運営」を新組織に期待した。

新研究棟を視察する馳文科相(中央)

新研究棟を視察する馳文科相(中央)

 また、同じく来賓として訪れた伴信彦・原子力規制委員は、同委の技術支援機関としての役割に触れるとともに、「一研究機関にとどまることなく」と強調し、原子力災害に備えた医療体制構築、放射線分野の人材育成確保、国民に対するわかりやすい説明など、多方面での活躍に期待をかけた。
 式典終了後、記者会見を行った量子科学技術研究開発機構の平野俊夫理事長は、新組織発足の所感として「多様な学問領域を統合することのワクワク感」と述べ、統合がもたらす相乗効果への希望に満ちあふれる一方、「多様には対立やカベもある」などと課題もあげた上、解決には「魔法はない、対話すること」として、今後自らも現場に赴き、特に若い人たちと積極的に対話し、組織内の交流を深めていく考えを強調した。

記者会見に臨む平野理事長(左から2人目)

記者会見に臨む平野理事長(左から2人目)

 量子科学技術研究開発機構は、本部を千葉市に置くほか、旧原子力機構が担っていた量子ビーム科学研究部門では、高崎量子応用研究所(群馬県)、関西科学研究所(京都府、兵庫県)、同じく核融合エネルギー研究開発部門では、那珂核融合研究所(茨城県)、六ヶ所核融合研究所(青森県)を主な研究拠点としている。
 理事長・平野俊夫氏(ひらの・としお) 1972年大阪大学医学部卒。同学医学系研究科長・医学部長、総長、内閣府総合科学技術・イノベーション会議議員などを歴任。2011年に日本国際賞(生命科学・医学)を受賞。68歳。