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原子力学会 研究炉の将来計画の明確化や新基準対応に向けた連携など提言

2016年4月5日

DSCF5894 上塚寛日本原子力学会会長、上坂充同学会副会長兼研究炉等の役割検討・提言分科会主査、中島健同分科会委員は4月5日の原子力委員会で、日本における研究炉等の役割について中間報告を行った。現在新たな規制基準への対応ですべての研究炉が停止しており、原子力人材育成や研究開発および産業利用に支障をきたしている。日本原子力学会は2015年6月に「研究炉等の役割検討・提言分科会」を設けて検討を重ね、2016年3月に研究炉等の役割と現在の課題、方向性についての提言などを中間報告としてまとめた。
 報告では、研究炉等の人材育成では、研究炉等を用いるカリキュラムに沿って進める教育、実習、研修による育成と、研究炉等を用いる研究開発を通じた研究者・技術者の育成の、2つの役割があるとした。しかし震災以前は毎年実人数にして1400~1700名を育成(研究炉等の稼働の有無を問わず)してきたが、すべての研究炉が停止して以降2014年度では約300名と5分の1未満に減少している。今後も重要な役割を担う研究炉について、(1)新規制基準への対応(2)高経年化対策(3)使用済み燃料に対する措置(4)核セキュリティ強化対応および対象となる一部の研究炉での燃料低濃縮化(5)廃止措置および次期研究炉の検討(6)運転員の力量と士気の確保――が立ち向かうべき課題であるとした。
 同分科会は提言として、原子力人材育成に不可欠な研究炉等の確実な維持運用のために将来計画を明確にすること、研究炉等の新基準対応に向けて連携を図り審査の透明性確保に努めること、使用済み燃料に関し特に米国返還期限である2029年以降の措置について検討しておくこと――を挙げた。
 岡芳明原子力委員長は、海外の研究炉の規制例なども参考にしつつ着実に対応を進めていくことを求め、今後原子力委員会としても研究炉の考え方について提言のかたちで示す方針を述べた。