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東北大、被災牛の歯で放射性ストロンチウムを測定し内部被ばく評価の手がかり

2016年4月15日

 東北大学の研究グループは4月11日、福島第一原子力発電所事故後20km圏内に設定された「警戒区域」に放たれた牛の歯を収集し、そこに含まれる放射性ストロンチウム90の量を測定することで、生物個体の内部被ばく線量を評価する手がかりを得たと発表した。
 ストロンチウム90は、歯の形成期に歯の中に取り込まれ、そのまま代謝されることなく留まることが知られており、動物が体内に取り込んだ「記録」となることから、本研究では、「警戒区域」に放たれた年齢の違う8頭の牛から9本の歯をそれぞれ採取し測定を行い、含まれるストロンチウム90の量を測定し評価を行った。
 それによると、「警戒区域」内の放射能に汚染された地域では、汚染のなかった地域(岩手県北部)と比べて明らかに値が高く、歯の中の放射能量が環境中の汚染の程度をよく反映しており、原子力発電所事故由来と考えられるストロンチウム90を動物の体内で検出した新たな例になったとしている。さらに、事故後に形成された歯(大臼歯、小臼歯)の放射能量の値は、事故前に形成された歯(乳臼歯)よりも低くなっており、ストロンチウム90の主な取り込み時期が歯の形成期と一致することを示している。
 原子力発電所事故により、環境中に存在する安定ストロンチウムに、放射性ストロンチウム90が加わったため、両者の比(比放射能値)は、ストロンチウム90が降下した場所と事故からの経過時間により異なるが、本研究で、歯の中の比放射能値は、牛の採取場所と時期、年齢、歯の形成段階により異なることが示された。したがって、研究グループでは、歯の中の比放射能値を測定することで、環境中の放射能汚染の時間経過、体内に取り込まれたストロンチウム90の総量を過去に遡って推定し、内部被ばく線量を評価できる可能性が得られたとしている。