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地層処分を考える全国シンポ始まる、科学的有望地の年内提示に向け

2016年5月10日

CHISOSHOBUNSYMPO 高レベル放射性廃棄物地層処分の科学的有望地提示に向け、その必要性について理解を深め、提示後の対話活動の進め方などを考える全国シンポジウム(資源エネルギー庁他主催)が5月9日、東京・大手町サンケイプラザを皮切りに始まった。6月初旬にかけて全国9都市で開催し、科学的有望地の位置付けや処分地選定の進め方について理解を求めていく。全国シンポジウムのキックオフに際し、高木陽介経済産業副大臣が挨拶に立ち、「原子力発電の恩恵を受けた現世代で解決していく必要」との問題認識とともに、地層処分の実現に至る「長い道のりの一歩」として、科学的有望地の年内提示を目指す政府の方針が述べられた。
 科学的有望地の提示については、2015年5月改定の最終処分基本方針に盛り込まれた後、同年5、6月と10月の2期にわたる全国シンポジウムなどを通じて、処分地の必要性などに関する情報提供や意見交換が進められてきた。科学的有望地は、最終処分法に定める選定プロセス(文献調査、概要調査、精密調査)に入る前の段階で、全国的なデータに基づき「大まかな適性」を示すものだが、これまでの対話活動で「押し付け」と捉えられる懸念もあったことなどから、今回のシンポジウムで伝えるメッセージとして、(1)科学的有望地の提示によって国民理解が深まることを期待、(2)科学的有望地の提示は長い道のりの「最初の一歩」、(3)科学的有望地の提示と調査受入れのお願いはまったく別――ということが、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長の多田明弘氏より示された。
 また、資源エネルギー庁の地層処分に関するワーキンググループでは、2015年5月の基本方針改定以降、科学的有望地提示に向け、安全性確保に関する技術的要件、提示後の対話活動について、引き続き検討が進められており、それぞれ原子力安全研究協会技術顧問の杤山修氏、原子力発電環境整備機構理事長の近藤駿介氏が説明し、参加者からの質問に応えるなどした。
 定員300名ほぼ満席となった会場からは、熊本大地震に鑑み活断層の存在、原子力発電所の再稼働が進む状況から使用済み燃料貯蔵のひっ迫に関する不安の他、関係学会の意見反映に係る疑義の声もあった。
 資源エネルギー庁では、シンポジウムと並行して、全国の自治体を対象とした原子力政策に関する説明会も行うなど、理解活動に努めているところだ。