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基本的考え方ヒア 村上氏「審査期間が見えないことによるリスク大きい」

2016年5月20日

MurakamiDSCF6086 村上朋子日本エネルギー経済研究所研究主幹は5月17日、原子力委員会の「原子力利用の考え方」に関し、論点の重要項目である「国内外の環境変化」について説明した。
 国内での原子力発電の事業環境について、新規制基準制定以降に再稼働したのは未だに2基であり、原子力の代替電源である火力発電費用が増大する一方、発電していない原子力も維持管理や安全対策等の費用が必要になっているため、各電気事業者の投資判断に今後とも注目していくべきだとした。また、2030年のエネルギーミックスで原子力発電率20~22%を達成するには、既設炉の寿命延長に加えて、新設と一定の設備利用率維持が必要な条件であることを指摘。最安電源は各国により千差万別だが、2014年時点で日本では原子力発電が、事故リスク対応費と政策経費を含めても全電源中最安値であることにも触れた。一方で、電力自由化が先行する欧米では、投資環境の変化に原子力事業者が対応しきれていない現実についても紹介。原子力発電は、準国産でありゼロエミッションのベースロード電源として期待できるが、巨大な初期投資を要するため、原子力発電設備をいかにして持続的に確保し一定の設備容量を維持していくか、またいかにして低炭素技術開発の芽を潰さずに継続的かつ効率的な推進をしていくかが、今後の競争環境下における事業継続に向けた課題であるとした。世界の原子力発電開発動向については、事故を境に変わったのは日本だけであることを示し、原子力開発のドライバーとなっているのは、3E(供給安定性、経済性、環境保全)であることに変わりはないと述べた。
 阿部信泰委員からの原子力発電はコストが安いのになぜ自由化すると立ち行かなくなると考えられがちなのかとの質問に対しては、原子力発電は初期投資の壁が高い上に、今の規制委員会のやり方では審査終了時期が見えないことが大きなリスクになっていると説明した。