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伊ENEL社が保有するスロバキア電力株の売却で第1段階 完了

2016年8月3日

 イタリアの電力会社であるENEL社は7月28日、子会社が保有しているスロバキア電力の株式66%をチェコのエネルギー企業、EPH社の子会社に売却する手続きの第1段階が完了したと発表した。この売買取引では、スロバキア電力が進めているモホフチェ原子力発電所3、4号機(各47.1万kWのロシア型PWR)増設計画の遅れが最大のネックとなっていることから、手続きを2段階に分け、両炉の完成までにかかるコストやスロバキアの電力価格といったパラメーターを考慮して、第2段階の売買価格を調整するとしている。

 スロバキア電力はスロバキア最大の電力会社で、株式の34%は政府の保有。ENEL社はイタリア政府が原子力事業の復活を検討していた2005年に、自社の原子力事業ノウハウ強化のためにスロバキア電力株66%を購入した。しかしその後、グループ内の債務を削減する必要性が生じ、60億ユーロ(約6,780億円)相当の資産売却計画を2013年から開始していた。

 EPH社へのスロバキア電力株売却は2015年12月に正式決定しており、ENEL社はその際の契約に基づき、保有するスロバキア電力株をまず、傘下のスロバキア電力ホールディング(SPH)社にすべて移管。これに対する欧州連合(EU)独占禁止当局の了承が得られた後、売買手続きの第1段階として、SPH社の所有権50%を3億7,500万ユーロ(約423億円)でEPH社の子会社に売却した。このうち1億5,000万ユーロ(約169億円)は直ちにEPH社の子会社から支払われたが、残りの2億2,500万ユーロ(約254億円)は、価格調整メカニズムを適用する第2段階の手続完了後になる予定。現段階でENEL社は、SPH社の残り50%を保有しているため、同社を通じてスロバキア電力株33%を差し当たり手元に残した状態だが、スロバキア電力の支配権は手放したことになる。

 第2段階の取り決めでは、モホフチェ3、4号機に試運転許可が発給されてから12か月後に、SPH社の残り50%をENEL子会社が3億7,500万ユーロで売却する権利と、EPH子会社の購入する権利それぞれが行使可能になる。現在の作業状況によると、両者の権利は2019年半ばまでには行使できる見通しで、モホフチェ3、4号機に最終運転許可が下りてから価格調整し、支払いが行われる計画。両段階を通じた売買価格の総額は7億5,000万ユーロ(約847億円)になると見られているが、スロバキア電力の運営効率や財政状況の動き、スロバキア市場におけるエネルギー価格、モホフチェ3、4号機の企業価値など、両者が同意した一連のパラメーターを使って、独立した立場の専門家が価格調整を行うことになる。