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米アイダホ・フォールズ市の予備分析調査:「SMR建設で地元に莫大な経済効果」

2016年8月17日

SMRの完成予想図©ニュースケール社

SMRの完成予想図©ニュースケール社

 米アイダホ州南部のアイダホ・フォールズ市は8月12日、ニュースケール・パワー社が開発中の小型モジュール炉(SMR)初号機を市内のアイダホ国立研究所(INL)敷地内に建設した場合、同市にもたらされる経済効果は莫大との予備分析調査結果を公表した。米エネルギー省(DOE)はすでに今年2月、同SMRの建設プロジェクトを主導しているユタ州の市町村電力公社(UAMPS)に対し、INLの敷地を使用することを許可。同敷地内でサイトの選定と特性調査活動が可能になった。米国では数十年にわたって貢献してきた石炭火力発電所が寿命を迎えつつあることから、同市としてはその閉鎖が始まる2024年にはSMR初号機の運転を開始したい考えだ。

 SMRプロジェクトの潜在的な経済効果に関する予備分析調査は、アイダホ・フォールズ市のR.キャスパー市長が今春、州政府を通じて実施を指示していた。結果発表に先立つ8月9日には、隣接するユタ州やネバダ州、アイダホ州南部等の国有林を管理している農務省機関によるエネルギー・サミットが同市で開催され、同市の市営電力も参加するUAMPSのD.ハンター最高経営責任者(CEO)は、INL内4つの候補区域のうち、国道20号線と26号線が分岐する地点の南、35エーカー(0.14平方km)の砂漠区域でSMR初号機の建設を希望すると発表。INLの研究施設に妨げられることのない地質の安定した区域で、初号機の原子炉建屋やタービン建屋、使用済燃料貯蔵エリア、管理施設などの建設には理想的との見解を示した。

 同分析調査の試算によると、プロジェクトの第1(建設)フェーズでは28億ドルの建設コストが生じる予定で、ピーク時の3年間に1,000人分の直接雇用が創出される。また、間接的に誘発される経済活動により地元には追加で11,808人分の雇用が生まれるため、建設期間に合計12,808人分の雇用がもたらされる。労働所得は合計15億ドル増加する見通しで、関連業界の連結売上も38億ドル増加するとした。SMRが完成した後の第2(運転)フェーズでも、年間360人分の正規雇用が維持される計算で、間接的な経済活動では追加で1,147人分の雇用が創出・維持されると予測。労働所得の増加分は9,800万ドル、業界売上も3億8,900万ドル増加するとの見通しを示している。

 アイダホ・フォールズ市はこのほか、地球温暖化に対する懸念の高まりから、石炭火力発電所の運転を環境や炭素関連の規制の下で10~15年間継続することは非常に高くつくとの認識を提示した。天然ガス火力発電所は石炭の代替が可能なベースロード電源ではあるものの炭素を排出しており、過去には価格が乱高下したという事実に言及。直前に開催された近隣州間のエネルギー・サミットでも、パネリストや講演者の多くが結論の1つとして、温暖化防止に真剣に取り組むには原子力を対策に含めなければならないこと、自分達のエネルギー源を進化させるには原子力技術の発展が重要であることを指摘した。ニュースケール社のSMR設計「パワー・モジュール」については、需要に応じて発電容量を変える能力があると強調。電気出力5万kWの一体型PWRである同モジュールを12基連結することで、最大60万kW(ネットで57万kW)まで出力の拡大が可能だとしており、INLにおける建設プロジェクトによって、毎日何時間も数十年にわたってベースロード電力を供給できるとしている。