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米議会下院、新型炉技術の開発支援法案 可決

2016年9月14日

 米国議会の下院全院委員会は9月12日、先進的な民生用原子力発電技術の研究開発を促進するとともに、その許認可と商業化を支援する法案「先進的原子力技術開発法2016(下院4979号)」を発声投票で可決した。原子力は国内のエネルギー供給保証と国家安全保障に資する重要ツールとの観点から米国の原子力産業は国際的な民生用原子力市場をリードし続ける必要があり、そのためには商業用軽水炉の維持と新たな先進的原子炉設計の利用拡大が重要との認識に基づいて、同法案は今年4月に共和党のR.ラッタ議員が上程。18名の下院議員が超党派で賛同していた。現地の報道によると上院には類似法案が上程されておらず、同法案は今後、上院での審議に回されると見られている。

 法案審議において、下院議員は国内の原子力発電所について、以下の点を判明事項として明記した。すなわち、(1)国内の総電力需要の約20%、低炭素電源による発電量の約60%を賄っている、(2)コンスタントに平均設備利用率90%で稼働しており、顧客や企業に信頼性のある適正価格の電力を供給している、(3)国の経済活動に数十億ドルをもたらすとともに、立地地域に高給雇用を創出するなど地元経済にも実質的に貢献している--などである。新型炉の定義としては、固有の安全性を有することや放射性廃棄物の排出量が少ないこと、燃料の有効活用が可能、あるいは信頼性や核拡散抵抗性が高いことなどを挙げており、同法案が成立した場合、エネルギー省(DOE)長官はDOE所有地における新型炉の試験・実証支援活動の現状について、180日以内に評価報告書を下院・エネルギー商業委員会と上院・エネルギー天然資源委員会に提出しなければならないとした。

 また、原子力規制委員会(NRC)は、効率的でリスク情報を活用した、技術毎に中立の新型炉許認可インフラの作成プランを、1年以内に下院・エネルギー商業委員会と上院・環境公共事業委員会に提出することが義務付けられる。同プランでは、申請からNRCによる最終的な認可決定までの期間を最短にするオプションや、申請の部分毎にNRCが承認する段階的な審査オプションなどについて、評価が行われる予定。プランの作成にあたってNRCは、DOEや原子力産業界およびその他のステークホルダーから情報を収集し、2019年9月末までのコスト見積額や審査スケジュールなども盛りこむことになる。

 さらに、DOEとNRCは同法に基づき、以下の点について合意文書を締結するとしている。すなわち、(1)産業界で安全かつ革新的な新型炉技術の開発・商業化がタイムリーに行われ、それらの認可申請や設計認証申請が円滑に審査されるよう、DOEとNRCはともに十分な専門的知見を保有しなければならない、(2)新型炉設計の性能や挙動は、物理的挙動の数学モデルに基づきコンピューターやコードを使って計算する、(3)産業界で新型炉技術の開発・商業化がタイムリーに行われるよう、DOEは支援施設を維持・開発する一方、NRCも必要に応じてそれらの施設を利用できるようにする--である。