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英シンクタンクが報告書:「2030年までに英国内でSMR初号機の運転可能」

2016年10月3日

 英国の官民連携シンクタンク「エネルギー技術研究所(ETI)」は9月29日、国内で2030年までに小型モジュール炉(SMR)を開発するための準備作業に関する報告書を公表した。目標日程どおり初号機を運転することは可能だが、それには投資家の信頼が早期に得られるよう政府の果たす役割が重要だと強調したほか、SMRを地域の熱供給ネットワークと連結する熱電供給型にすれば経済的恩恵は大きいとの見解を示している。

 英国では現在、数十年ぶりという原子力発電所新設計画が進展中だが、2015年4月に当時のエネルギー気候変動省(DECC)は、政府のSMR開発政策を後押しする情報を収集するため、関係省庁による技術経済的な評価作業を開始。同年11月に、SMRを含めた意欲的な原子力研究開発に対して2億5,000万ポンド(約327億円)を投資すると発表したのに続き、今年3月には、英国にとって最良の価値を有するSMR設計の特定コンペの第一段階に着手すると発表していた。産業界もすでに動き始めており、米国籍のニュースケール社は2015年10月、独自開発中のSMRで英国原子力市場に参入する意向を表明。東芝傘下のウェスチングハウス社も同月、英国政府にSMRの共同開発を提案した。

 ETIは、エネルギーとエンジニアリングの関連企業、政府および学会が共同出資するシンクタンクで、低炭素エネルギー技術の開発促進を目的としている。今回の報告書では、英国内でSMR初号機の運転開始を支援する際に何が必要とされるか検証したという。結論としてはまず、開発リスクを徐々に削減していける政策枠組の策定など、投資家から信頼が得られるようなアクションが取れれば、説得力のある総合的な開発スケジュールの設定につながると指摘。そうした政策枠組を策定するいかなるプログラムにおいても、最初の5年間に政府が果たす役割は重要だとした。

 また、SMRでただ発電するのではなく、熱電併給システム(CHP)として開発した場合の技術的実行可能性とコスト影響についてもETIは詳細に評価。地域の熱供給ネットワークに低炭素な熱供給を行う経済的利点を改めて強調した。SMRにはサイズが小さくて立地が容易という柔軟性があり、これによりSMRでは最長30kmの温水パイプラインで都市に低炭素な熱を送ることが出来るほか、新たな立地点を開拓する道も拓ける。たとえ開発段階で熱供給システムの需要が確認できなくても、SMRの開発概念にはCHPを想定した配慮をすべきだと勧告としており、その理由として追加コストが少なくて済む一方、将来的に大きな利益を生む可能性があり、消費者と事業者双方に利益がもたらされる点を挙げた。

 さらにSMRの利点の1つとして、ETIはサイトで組み立てる前に工場で標準設計通り製造できると指摘。設計標準化には、量産効果によるコスト低減を加速する可能性があるとした。また、イングランドとウェールズ両地方では大型原子炉の立地が限られているのに対し、SMRで幅広い立地が可能になるということは、初号機建設に早期に着手できるという特性の現れだと強調している。