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中国:海上浮揚式原子力発電所の実証プロジェクトを正式に開始

2016年11月8日

©CGN

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 中国広核集団有限公司(CGN)は11月4日に広東省の深圳で記者会見を開催し、中国初の海上浮揚式原子力発電所実証プロジェクトを正式に開始すると発表した(=写真)。熱出力20万kWの小型PWR「ACPR50S」について、原子炉容器の購入契約を東方電気と締結したもので、2020年にも送電開始する見通しとなっている。沖合設備に対するエネルギー供給は、南沙諸島など南シナ海の領有権を握って海軍力や権益の拡大を目指す中国にとってクリアしなければならない課題であり、CGNと並ぶ中国の大規模原子力開発企業である中国核工業集団公司(CNNC)も、出力10万kWのモジュール式小型PWR「ACP100」の海上浮揚式版として「ACP100S」を開発中。これらが完成すれば同国の離島や沿岸地域、南シナ海などで石油・ガス採掘構造物等への熱電併給および海水脱塩などに利用されると見られている。

 中国において陸上と海上の両方で利用可能な小型炉の開発は、100万kW級の大型原子炉開発を補完するとともに、エネルギー供給オプションの多様化を図るという位置付け。CGNはフランスの技術をベースに開発した第3世代設計「ACPR1000」の小型版として、熱出力45万kWの陸上用PWR「ACPR100」の設計も進めている。CGNの発表によると、国家発展改革委員会(NDRC)は昨年12月、革新的エネルギー技術の開発に関する第13次5か年計画の一部として「ACPR50S」の実証プロジェクトを承認。CGNはその後、原子炉容器を含む主要機器の製造について入札を実施しており、その結果として今回、CGN研究院と東方電気が購入契約にこぎ着けた。陸上の原子力発電所の場合、中国では原子炉系統部分への最初のコンクリート打設をもって正式着工となるが、土木工事が不要な海上浮揚式の場合は、原子炉容器の調達契約調印が正式着工になるとCGNは指摘。船体部分の建設工事が比較的短期間で済む一方、すべての機器の中でも製造に最も時間がかかる原子炉容器は、今回の契約により正式にエンジニアリング段階に入ると説明した。

 海上浮揚式原子力発電所の建設については、現在ロシアが最も進んでおり、民生用原子力発電所を管轄するロスエネルゴアトム社は今年10月、極東地域に位置するチュクチ自治管区のペベクで、世界初の海上浮揚式発電所となる「アカデミック・ロモノソフ」(出力7万kW)の係留用陸上設備の建設工事を開始した。近隣地区にあるビリビノ原子力発電所(1.2万kWのLWGR×4基)をリプレースする形で、2019年に運転開始する予定である。