フォントサイズ:

IEA:2040年までに世界のエネルギー部門は大幅に変革すると予測

2016年11月17日

 国際エネルギー機関(IEA)は11月16日、世界のエネルギー部門における2040年までの長期的全体像を網羅した「世界エネルギー予測(WEO)2016年版」を公表した。2040年までに世界で増加するエネルギー需要を賄う上で、石炭と石油に代わり再生可能エネルギーと天然ガスが大きな役割を果たすなど、世界のエネルギー供給システムは今後数十年間に大きな変革を遂げるとの見通しを明らかにした。電力部門は特に、地球温暖化との闘いの最前線に位置するとしており、原子力発電も政治的に受け入れられている場合は再生可能エネルギーやCO2の回収・貯蔵(CCS)などと並んで、脱炭素化の原動力の1つになるとの認識を示している。

 WEO最新版はまず、COP21で採択されたパリ協定における誓約を詳細に分析。その結果として、化石燃料の時代が終わったとは到底言うことができず、さらに意欲的なCO2排出削減目標を達成しなければならないことが浮き彫りになったと指摘した。それでも、各国政府の政策とエネルギー部門全体のコスト削減努力により、今後25年間で再生可能エネルギーの導入量およびエネルギーの効率化をともに2倍に拡大することが可能になるとしており、石炭と石油のシェアが後退する一方、天然ガスの役割は今後も継続的に大きくなるとした。F.ビロル事務局長は今後25年間の「勝者」となる天然ガスと再生エネの中でも風力と太陽光は特に、石炭が過去25年間に占めていた地位を奪うとしたものの、将来的な道筋は1つではなく、実際には各国政府の取る政策が今後の方向性を決定付けることになると強調した。

 パリ協定は11月4日付けで発効しており、WEOは地球温暖化に対抗していくための大きな前進だと評価している。しかし、現行の国際的な誓約を実行したとしても、エネルギー部門が排出すると予測される2000年以降、年平均6億5,000万トンのCO2を、2040年時点で年平均1億5,000万トンに抑えられる程度と計算。削減達成量としてはかなりのものだが、2100年までに世界の平均気温の上昇を2.7度Cに抑えられるに過ぎず、温暖化による最悪の影響を回避するにはほど遠い。気温上昇を2度C未満とする道のりは非常に険しいと言えるが、低炭素な技術とエネルギーの効率化を一層加速する政策がすべての部門で導入されれば達成不可能なことではないと断言した。

 その上でWEOは、今後数年以内にCO2排出量がピークに達することと、今世紀末までに世界経済におけるCO2排出量と吸収量がバランスの取れた状態になることが必要だと指摘。例として、気温上昇を2度C未満に抑える道筋を示したIEAの「450シナリオ」では、2040年までに7億台以上の電気自動車が普及し、一日あたり600万バレル以上の原油需要と置き換えられる必要性があるとした。また、同シナリオを達成するには、エネルギー部門に投入される資本を抜本的に再配分しなくてはならず、エネルギー供給への累積投資額である40兆ドルが、再生可能エネルギーと原子力、およびCCSなどの低炭素投資に向けられるとしている。