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米イリノイ州:原子力への財政支援措置盛り込んだエネ法案を可決

2016年12月6日

 米イリノイ州議会は今会期の最終日である12月1日、CO2を排出しない発電設備に対する財政支援プログラム「CO2のゼロ排出基準(ZES)」を盛り込んだ包括的エネルギー法案を可決した。上下両院がともに承認したことから、同法案は今後、B.ラウナー州知事の署名を経て2017年6月1日付けで発効する。州内の6サイトで原子力発電所を所有・運転するエクセロン社はこれに先立つ11月30日、同法案の内容について州知事と意見の一致を見たことを公表。知事による署名は確実視されている。また、法案の成立を受けて、2017年6月と2018年6月にそれぞれ早期閉鎖が予定されていたクリントン、クアド・シティーズの両原子力発電所では、運転が10年間継続されると見られている。米国ではニューヨーク州の公益事業委員会が今年8月、同様に州内の原子力発電所維持を目的とする補助金プログラムを含めた包括的な温暖化防止政策「クリーン・エネルギー基準」を承認。イリノイ州はこれに次いで、地球温暖化防止対策における原子力の貢献を正式に認めたことになる。

 「将来的なエネルギー雇用に関する法案」と題された同法案では、再生可能エネルギーとエネルギーの効率化を拡大するイニシアチブも盛り込まれており、エクセロン社と傘下の電力会社であるコモンウェルス・エジソン社は、同法案により風力や太陽光などの無炭素電源と対等の立場が原子力発電にも与えられたと指摘。州内の無炭素電源による発電量の9割が、原子力発電所によって賄われているという事実を強調した。同法案ではまた、原子力への財政支援プログラムにより年間2億3,500万ドルの追加経費が必要になると伝えられているが、エクセロン社は「修正が加えられた法案最終版では、今後10年間にすべての法人顧客向け電気料金の上昇分が2015年実績に対して1.3%に留められ、コモンウェルス・エジソン社の住民顧客が支払う平均的な電気代も増加額が1月あたり25セント未満に制限された」と明言。温存された原子力発電所が生み出す12億ドル相当の経済活動が維持されるだけでなく、原子力発電所を閉鎖した場合にCO2排出量の増加で必要になる100億ドルの追加経費を抑えることができると述べた。

 エクセロン社によると、審議の過程で同法案は200を超える企業や労働団体、環境団体、宗教活動グループなどから幅広く支持されており、その中でも特に、労働総同盟産業別組合会議(AFL-CIO)や国際電気工組合(IBEW)、シカゴ都市圏商工会議所、イリノイ州小売り協会が含まれると強調。クリーン・エネルギー関係の雇用促進団体としては、公共サービス理事会(CUB)や自然資源保護協会、シエラ・クラブ、環境防衛基金などから支援が得られたとしている。

 ラウナー州知事も同日、「いかなるエネルギー法案においても、雇用と電気代の納付者および納税者の保護を州政府が従うべき指導原理としてきたが、今回、議員や関係者達の粘り強い誠実な交渉を通じて、そうした原則に則った合意に達することが出来た」とコメント。同法案により数千もの雇用を維持するとともに、電気代の上昇に制限を設けたことで電力会社の顧客も守られるとした。同様に、原子力発電所の温存により、納税者が困難な状況に陥ることがないことを保証するとしている。