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独憲法裁判所:2011年の原子炉閉鎖命令に対する政府の補償責任認める

2016年12月7日

 ドイツの連邦憲法裁判所は12月6日、福島第一原子力発電所事故を受けて2011年8月に8基の原子炉の閉鎖を命じた13回目の原子力法改正(第13回改正)は部分的に違憲であると見なし、原告である3つの電力会社に対して連邦政府は相応の補償を行うべきだとの裁定を下した。第13回改正により原子炉の閉鎖日程が前倒しで確定されたため、過去の法改正で保証されていた原子力発電所の残余運転期間が抹消され、電力会社がそのために実施した投資に対する補償がないことは「財産権の違法な侵害にあたる」との解釈によるもの。具体的な補償額は明示していないが、2018年6月末までに補償のための規則を新たに制定するよう政府に命じている。これにより、電力3社はこの裁定を実行に移す協議を政府と開始する考えだが、請求総額については判決文を詳細に分析した上で決定するとしている。

 ドイツでは2001年、当時の反原子力政権が電力業界と脱原子力協定を締結し、既存の原子力発電所はそれ以降の法定発電枠として総計約2兆6,000億kWhまで発電することが許された。2009年になると右派中道政権が発足し、原子力を再生可能エネルギーで代替可能になるまでの「橋渡し技術」とする基本的考え方の下、年間23億ユーロの課税と引き替えに運転期間を平均12年間延長する法改正が2010年に行われた。しかし、翌年に福島第一事故が発生し、A.メルケル首相はこの直後、1980年以前に運転開始した古い原子炉7基および長期停止中だった1基を、安全審査のために3か月間暫定停止するよう地元州政府に指示。これら8基は再起動することなくそのまま早期閉鎖され、2022年までに残り9基もすべて段階的に全廃することが決まった。

 閉鎖された8基のうち、イザール1号機とウンターベーザー原子力発電所を所有していたE.ON社、ビブリスA、B両発電所を所有していたRWE社、およびブルンスビュッテルとクリュンメルの両発電所に出資していたスウェーデンのバッテンフォール社は、閉鎖にともなう損害賠償を求めてドイツ連邦政府を提訴した。判決文の中で憲法裁判所はまず、「2011年の第13回改正は基本的にドイツ憲法を遵守している」と明言。しかし、2002年の法改正では割り当てられた発電量を発電し終わるまで原子炉が稼働可能だったのに対し、第13回改正は閉鎖が義務付けられる期日を法的に確定してしまい、各原子炉の割当発電枠を保証しなかったという点で、同改正は憲法上保証された基本的な財産権を明らかに侵害しているとした。裁判所はまた、2010年の法改正で認められた運転期間延長のために電力会社が実施した投資について、第13回改正は清算交渉に類するものを何1つ提供していないと指摘。連邦政府は少なくとも改正時に、そうした損害を考慮に入れるべきだったとの見解を示している。