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日英両政府、民生用原子力分野の協力拡大で合意

2016年12月26日

©英国政府

 英国のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は12月22日、原子力施設の廃止措置や研究開発、英国における新設計画といった民生用原子力分野全般の協力活動拡大で日英両政府が覚書を締結したと発表した。来日したBEISその他の関係者が経済産業省で会談した後、BEISのG.クラーク大臣と世耕弘成経産大臣が都内で調印したもの(=写真)。日本において福島第一原子力発電所の廃止措置等で共同研究を拡大する必要性が認識される一方、英国では現在、日立製作所と東芝が出資する新設計画が進展中であることから、商業段階および研究段階の協力拡大という双方の希望を再確認し、対話を一層促進して互恵的な戦略的パートナーシップを推進していくとしている。

 この覚書は、2012年4月に日英両国の首相が公表した共同声明「世界の繁栄と安全保障を先導する戦略的パートナーシップ」に基づいている。BEISの発表によると、日本は英国経済に対する投資額では2番目に大きく、日立製作所の子会社であるホライズン社がウェールズ地方アングルシー島で進めているウィルヴァ・ニューウィッド原子力発電所建設計画、および東芝が筆頭株主となっているNuGen社が西カンブリア地方で進めているムーアサイド原子力発電所計画により、英国内では最大2万人分の雇用創出が見込めるほか、英国の電力需要の約15%が満たされる見通し。原子力産業のサプライ・チェーン企業には約200億ポンド相当の契約がもたらされるとした。また、原子力施設の廃止措置や放射性廃棄物の管理で英国は世界でもリーダー的立場にあり、日本と緊密に協力することで、日英両国で原子力発電の将来的な持続可能性を保証するという現実的な利益が生まれると強調した。今回の覚書は国際法に基づく拘束力や義務事項を発生させるわけではないが、クラーク大臣は「戦略的な国際連携が経済にどれほど推進力を与え、産業戦略の重要部分として国内外に事業チャンスを生み出すか、日本とのパートナーシップは明らかな実例になる」との認識を示した。

 同覚書がカバーする民生用原子力分野の活動は4種類に大別されており、「原子力施設の廃止措置と除染」の項目で両国は、経験と知見を共有することの重要性から廃止措置プログラムの共同実施や共同研究で関係を深める点で合意。日本の原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)と英原子力廃止措置機構(NDA)が行っている協力、および東京電力とセラフィールド社間の既存の共同研究は、双方に利益をもたらしている例だとして称賛した。「研究開発」に関しては、双方の原子力部門で研究開発協力を促進し、相互理解を深めることの重要性を両国が認識。双方の研究施設を共有する手段を模索したり、学術機関同士で交流を深めるなど、連携拡大を目的に関連省庁や組織間で進められている協議を高く評価した。

 また、「安全・セキュリティの世界的慣行」という項目では、原子力発電の安全・セキュリティ対策を保証する上で、民生用の原子力活動を行っている国、特に輸出国が世界的な慣行を維持・促進することは重要という考えで両国は合意。こうした目標を達成するため、2国間、多国間で協調していくことを再確認した。さらに「原子力新設計画」の項目では、両国はまず原子力発電が安全かつ信頼性が高く、低炭素で価格も適正なエネルギーを生み出すという役割を果たし得ると指摘。ホライズン社とNuGen社による新設計画の進展に向け、今後も継続して協議を進めて行くとした。現地の報道によると、英国財務省のP.ハモンド大臣は「東芝と日立製作所の技術に何ら問題はなく、実際の課題は資金調達だ」と述べた模様。日本の政府系輸出信用機関である国際協力銀行と日本政策投資銀行がホライズン社に対して融資を行うか、両国政府が審査する予定だと報じている。