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エネ研が2017年度の需給見通し発表、「3E達成にとって原子力発電の役割は大きい」

2017年1月6日

 日本エネルギー経済研究所は12月22日、2017年度の経済・エネルギー需給見通しを発表した。生産・経済活動の改善の一方、省エネルギー傾向が継続することで需要は微減、また、原子力発電の再稼働や再生可能エネルギーの伸長が化石燃料消費を押し下げることで、エネルギー起源CO2の排出量が大幅に減り東日本大震災前を下回るなどと予測している。
 今回の見通しで、2017年度の一次エネルギー国内供給については、2016年度見込みの469.5メガトン(石油換算)から、さらに468.0メガトン(同)にまで下がり、その構成では、石油と天然ガスの減少の一方、石炭は微増し、これら化石燃料が原子力や再生可能エネルギーへ顕著にシフトしていくなどとする「基準シナリオ」の総括データを示した。化石燃料の比率は6年ぶりに90%を下回る見通しだ。
 原子力発電については、新規制基準をクリアしこれまで5基が再稼働しているが、「基準シナリオ」に従い、2017年度末までに累計14基が再稼働した場合、原子力の総発電量は629億kWh、化石燃料輸入総額は15.9兆円、電力コスト単価は6.8円/kWh、エネルギー起源CO2排出量は1,105メガトンと想定している。これに対し、2017年度末までの再稼働が累計7基にとどまるとする「低位ケース」では、「基準シナリオ」に比べ、化石燃料輸入総額は0.3兆円増加、電力コスト単価は0.2円/kWh上昇、CO2排出量は16メガトン増加し、逆に、再稼働が18基に拡大する「高位ケース」では、「基準シナリオ」に比べ、化石燃料輸入総額は0.2兆円減少、電力コスト単価は0.2円/kWh低下、CO2排出量は12メガトン減少などとする試算結果を示した。さらに、資源エネルギー庁が2015年に取りまとめた「長期エネルギー需給見通し」の電源構成を参照した「ベストミックスケース」を仮想した場合には、電力コスト単価は0.5円/kWh上昇するものの、化石燃料輸入総額は1.2兆円減少、CO2排出量は101メガトン減少するなどとして、「3E(安定供給、経済効率性、環境適合)達成にとって原子力発電の役割は大きい」と述べている。
 また、エネルギー起源CO2排出量については、震災後の原子力発電稼働停止などの影響により、4年連続で増加し2013年度には1,235メガトンにまで達したが、その後、需要減に加え、再生可能エネルギーの普及や原子力の再稼働により、2014年度は1,190メガトン、2015年度は1,148メガトンと減少に転じている。今回の見通しでは、2016年度は1,137メガトン、2017年度は1,105メガトンと、さらなる減少を見込んでおり、エネルギー起源CO2排出量は、2030年度を見据えた国際公約「温室効果ガス排出量の2013年度比26.0%減」で目安としている927メガトン達成がより近づくものとなる。
 今回の発表に関連し、同研究所原子力グループマネージャーの村上朋子氏は、2017年の原子力発電の展望・課題として、原子力規制委員会による新規制基準適合性審査の合理化・迅速化・効率化、2年以内に運転開始から40年を迎える日本原子力発電東海第二と関西電力大飯1号機の運転期間延長、司法判断が及ぼす事業リスク、高速炉開発戦略再構築に対する電力の関与などをあげている。また、海外の動きについては、特に中国の伸びを強調しており、2018年度末の原子力発電設備容量は4,327.3万kWに達して日本を抜き世界第3位に躍進するとの予想を示した上で、近年に見る他国との原子力協力の勢いぶりから、「2017年は中国の国際展開がどこまで広がり、深まるのか、引き続き注目される」などとしている。