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福島第一の廃炉技術開発に向け、若手が集い研究発表

2017年3月8日

 将来の原子力発電所廃炉現場での活用に向け、次世代の研究・技術者の育成を喚起する技術カンファレンスが3月7日、東京工業大学・大岡山キャンパスで開催され、大学・高等専門学校の学生たちによる研究成果が披露されるなどした(=写真上)。多方面の研究者が機関・分野の枠を越えて連携することを通じ、原子力の課題解決を目指す文部科学省「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業」の一環として行われたもの。
 本事業のプログラム・ディレクターを務める原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長の山名元氏は、学生発表に先立ち基調講演を行い、福島の被災地住民が帰還に際し不安に思うこととして、「原子力発電所の安全性」が多くあがっていることを述べ、福島第一原子力発電所の廃止措置に見通しを示すのは「技術者の責任」と訴えかけた。さらに、福島第一の廃炉は通常の原子力発電所にはない放射性物質のリスクがあることから、「建屋の老朽化も加わり、放置すればリスクが受容できないレベルにまで引き上がる」と強調し、「長い戦いに向け技術力を継続させていかねばならない」として若手の活躍に期待を寄せた。また、同氏は、福島第一の安全な廃炉完遂を目指し、国内外の専門家たちの英知を結集する国際フォーラム(第2回)が7月2、3日に、広野町といわき市で開催されることを紹介した。

二層の膜間に紛体を封入した構造の「ジャミング膜グリッパ」は、ボタン押しやハンドル把持により配電盤の開閉も行える

 学生による研究発表は、燃料デブリ処理・放射性廃棄物処分、設備管理、核種分析など、7テーマ別に行われた。その中で、遠隔技術に関して、福島高専は、放射線影響や暗闇など、様々な制約のある原子炉建屋を想定した競技フィールドで、学生たちが製作したロボットの動作を競う「廃炉創造ロボコン」への参加について発表し、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)に金属粉末を添加した遮へい材で、ガンマ線がロボットに与える影響を抑えられることを説明した。また、東北大学からは2組が発表し、それぞれ狭あい通路でロボットの走行が滞る「壁デッドロック」現象を解消するための左右駆動輪速度の検証、ドラえもんの手を連想させるロボットハンド「ジャミング膜グリッパ機構」の実験について披露した。
 この他、土木学の観点から粘性を有した「超重泥水」による放射線遮へい(早稲田大学)、国内で初めて発電に成功した動力試験炉「JPDR」の解体管理データの統計分析に基づく廃止措置の作業人工数算出モデル(福井大学)など、ユニークな提案もあった。

表彰された学生たち(左から6人目は山名氏、右から2人目は小原氏)

 カンファレンス終了後、優秀な学生発表への表彰が行われ、実行委員長の東工大・小原徹教授は、「すぐに現場で役立ちそうなものもある」などと講評を述べた。