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原子力学会が核燃料サイクルの成立性を検討へ、複数シナリオを候補にデータベース化も

2017年3月16日

 日本原子力学会(会長=上坂充・東京大学工学系研究科教授)は、「もんじゅ」の廃炉決定など、昨今の原子力・エネルギー政策の動向を踏まえ、核燃料サイクルの成立性に関する検討を、2017年度より開始する。3月15日の同学会会長記者会見で報告されたもので、現状のウラン埋蔵量、コスト、使用済み燃料の発生量や処分オプションなど、目指すべき姿を見据え幅広く検討を行う。
 核燃料サイクル政策の将来像については、福島第一原子力発電所事故後、原子力委員会で、「将来の原子力発電規模に応じた核燃料サイクル政策の選択肢」として、使用済み燃料の取扱いの基本方針により、「全量再処理」、「再処理/直接処分併存」、「全量直接処分」の3つに分けて総合的な評価が行われたことがある。また、現行の「エネルギー基本計画」で、核燃料サイクル政策については、将来的な技術動向、エネルギー需給、国際情勢など、様々な不確実性に対応する必要から、「再処理やプルサーマル等を推進するとともに、中長期的な対応の柔軟性を持たせる」とされている。一方で、核燃料サイクルの中心となる六ヶ所再処理工場は、原子力規制委員会による新規制基準への対応などから、しゅん工時期の延期が繰り返されており、使用済み燃料貯蔵のひっ迫が懸念されている。
 こうした状況に関し、原子力学会の再処理・リサイクル部会は、「核燃料サイクル堅持の方向性は極めて曖昧になってきた」として、新たに研究専門委員会を4月より立ち上げ、これまでの路線にとらわれず、(1)フロントエンド(ウラン資源など)の現状と課題、(2)核燃料サイクルの候補シナリオ、(3)再処理の現状と課題、(4)高速炉の可能性――といった論点から、核燃料サイクルが成立するシナリオについて幅広く検討を行うこととした。新たな専門委員会のもと、ウラン資源の確保については海水ウランの回収に関する現状調査などを実施するほか、これまでの資源論にとどまらず、「コストや環境負荷低減など、様々な観点で成立性について検討する必要」から、使用済み燃料直接処分も含め、複数の核燃料サイクルシナリオを検討候補にあげデータベース化も行う。