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WH社が倒産法に基づく再生手続 申請、事業者は建設プロジェクト再評価へ

2017年3月30日

 米ペンシルバニア州を本拠地とするウェスチングハウス(WH)社は3月29日、親会社である東芝の事前承認に基づき、同社と米国内の関係企業および米国外の事業会社群の持ち株会社が、連邦倒産法の再建型処理手続である第11章の適用をニューヨーク州連邦破産裁判所に申請したと発表した。第11章手続では、債務者が手続期間中に財産の占有・管理権限を持つ占有債務者(DIP)として、事業を継続することが可能なため、WH社は基幹事業を維持しつつ、同社製AP1000の建設計画に関わる財政問題解決の道を探っていくと明言。差し当たり、破産状態から脱却するための再建計画作成に集中する考えを示した。また、2013年に米国内で開始した2件のAP1000建設プロジェクトでは、同手続の初期評価期間中も作業を継続することで各オーナーと合意したとしており、中国で建設中の既存プロジェクトおよび将来的な案件についても推し進めていく方針を明らかにした。

 発表によると、WH社グループは再建期間中の基幹事業維持のために第三者からの資金調達(DIPファイナンス)として8億ドルを確保済み。東芝はこのうち2億ドルを上限に債務保証を提供する予定で、破産法手続の開始にともない、同社はWH社グループを2016年度通年決算の連結対象から外すことができる。WH社グループもDIPファイナンスを通じて、運転中プラントの支援や核燃料、機器製造、エンジニアリング、廃止措置、除染、サイト復旧、放射性廃棄物管理といった事業を継続し、事業ユニットの再建も図ることが可能だとした。また、手持ちの銀行信用状は全額が現金担保されており、依然として有効な状態。DIPファイナンスによって、新規に信用状を発行してもらうことも可能であり、倒産法第11章の適用申請がアジアや欧州、中東、およびアフリカ地域における同社の運営に影響することはないとの考えを強調している。

 これに対して、サウスカロライナ州で2基のAP1000をV.C.サマー原子力発電所2、3号機として建設中のスキャナ社は同日、倒産法手続に移行する評価が行われている間、プロジェクトの共同オーナーであるサンティー・クーパー社とともに建設計画のコストとスケジュールを再評価すると発表した。両社はWH社の申請が裁判所の承認を受けることを条件に、2基の完成に向けた作業の継続で合意するための協議をWH社と実施。その一方で、この合意により両社には、WH社が提示した情報や同社が期日までに提出できなかった資料も精査する時間が得られたとしており、同プロジェクトにとって最も保守的な方向性を定めたいとしている。また、現地の報道によると、AP1000設計を採用したA.W.ボーグル原子力発電所3、4号機増設計画をジョージア州で進めているサザン社は、「契約上の財政責任をWH社と東芝に取らせるため、あらゆる手段を継続的に講じていく」と述べた模様である。

 一方、東芝が筆頭株主となっている英国のニュージェネレーション(NuGen)社は同日、西カンブリア地方ムーアサイドにおけるAP1000×3基の建設計画について、今年第2四半期に予定していた開発同意書(DCO)の申請を見送ると発表した。理由としては、2016年7月に完了した第2回目の公開協議で、予想をはるかに超える数の参加者や示唆に富む詳細な意見が多数得られ、その評価作業の完了までに今後数か月を要するためだと説明。これらをDCO申請書に盛り込むための協議を実施するほか、提案計画に変更が生じた場合は正当な手続や関係者との対応も必要であることから、この機会をフルに利用して発電所設計の評価も行いたいとしている。